色情報は、RGBやCMYKの値で表すことがパソコンの世界では通常行われています。しかし、例えば「シアン100%」の色といってもインクジェットのインクでの場合、A社のインキの場合、B社のインキの場合、レーザプリンタのシアントナーの場合などで、それぞれ色が異なります。
 また使用する紙によっても色が異なります。また、ディスプレイの場合、同じRGBの値をあたえても、ディスプレイのメーカや機種が異なれば異なった色で表示します。従って%(RGBの場合は0〜255の値)が与えられた場合、おおよその色は推定できますが、厳密には色は特定できません。

 そのため、色を共有する場合は、色見本を作成し、RGBやCMYKの値はともかく、結果が合えばよい、との考えで、目視で合わせることが行われてきました。しかし、ネットワークを通して色を共有する場合は、現物を比較できないので、目視で合わせることはできません。
 そのため、古くからいろいろな方法で絶対的的な色の表現方法が検討され、現在では、重さや長さと同じように色も測ることができるようになりました。
これにより、場所が離れていても同じ物差しで測色すれば違いがわかり、色味を共有することができます。

 人間が知覚できるすべての色は3次元の数値で表現できることは、1930年代から分かっていました。ディスプレイはRGBの混色で、プリンタや印刷はCMYKの混色で表示するから、「同じ色にはならないので統一して扱えるはずが無い」等と考える人もいますが、それは誤りです。色はそもそも人間の視神経が光で刺激されたとき知覚するのであり、ディスプレイからの光と紙から反射した光を原理的には人間が区別できません。でも現実には区別できてしまいます。その原因の一つは色と同時にディスプレイの走査線や液晶の画素、紙の繊維などが見えてしまうからです。また発色の原理が異なるので、同じ色に見えるような条件を整えることも現実には難しいことも事実です。それらの要素を除外することができれば、区別はできなくなります。

すべての色を表現する3次元の数値を、明るさの軸(L)と色あいを表す平面(ab)で表現することが最近広く用いられており、aは-128〜127、bは-128〜127、Lは0から100の値をとります。このL、a、bの値がそれぞれ同じであれば、装置が何であっても同じ色と知覚できるのですから、Labは装置に依存しない色の表現方法、すなわち、「ディバイス・インディペンデントカラー」と呼ばれています。

写真は色を測定することが出来る装置の一例です。これはパソコンに接続して使用するものですが、このほかにも、色の測定値が装置の液晶表示部に、直接表示されるタイプもあります。

    このような測定装置を使用すれば、たとえば、自動車の鉄のボディに塗装した色味と、塗装しないプラスチックのモールドのバンパーとでも色味を合わせることが出来ます。また仕様書で指定したLab値との差を数値で示し、受け入れ検査や出荷検査の合格判定にも使用することも行われています。 


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