基礎知識の「色は測ることができる」で説明した、Labの概要の知識があることを前提としています。
なを、測色した色をあらわす「ディバイス・インディペンデントカラー」としては、Labのほかに、XYZ、Lch、などがありますが、このホームページでは、Labを主として使用します。 理由はPhotoshopを説明に使用していますが、このPhotoshopで、「ディバイス・インディペンデントカラー」としてLabを使用しているからです。 そのためRGB(CMYK)とLabを対応させた具体的な値をPhotoshopで確認することが出来ます。
色を絶対的な値(Lab)で表現できるのですから、実物の色(図 中のライオンのある部分の毛の色)のLab値(Lab1)と、ディスプレイで表示したとき、そのディスプレイ上のその同じ部分の色のLab値(Lab2)と、プリンタ出力紙上のその同じ部分の色のLab値(Lab3またはLab4)が同じか非常に近ければ、実物と同じ色で画面表示出来たことになり、またプリント出来たことになります。
このように画面もプリントも実物通りの色で表示できることがカラーマネジメントの基本的な目的です。色味を合わせるべき基になる対象が、印画紙上の写真の場合であれば、印画紙上の写真などを実物と捉えればよいでしょう。
「図 カラーマネージメントの原理」の例の場合、実物の絶対的な色は(L=73、a=27、b=55)であり、これをデジカメで撮影したら、R=242、G=158、B=76という値で記録されたことを示しています。(もちろん、場所により色が異なりますが、ある一点の色味を対象としています)
モニタについては、この同じRGB値を与えると実物と同じ色味で表示されるなら、カラーマネージメントは不要ですが、通常は同じ色味では表示されません。同じ色味で表示するためには、このモニタの場合は、R=242、G=159、B=77でなければならないというモニタであることを示しています。
RGBプリンタの場合は、R=240、G=156、B=78でなければ、同じ色味にはならないプリンタであることを示しています。
CMYKプリンタの場合は、C=10、M=55、Y=80、K=1でなければ、同じ色味にはならないプリンタであることを示しています。
このように、実物の色を復元するに必要なRGB値がディスプレイとRGBプリンタで異なっており、しかもいずれもデジカメの出力のRGB値とも異なっている、ということはごく一般的な事実です。
そのため、デジカメ出力のRGB値そのままでは実物の色をディスプレイで表示することも、プリントすることもできません。そこでデジカメ出力のRGB値を、モニタやプリンタで望ましいRGB値になるように、RGB-RGB変換やRGB-CMYK変換を行う必要がありますが、直接変換するのではなく、ICCプロファイルを使用して変換する方式が最近の主流になっています。
デジカメでは、データはRGB値で記録されますが、もしRGB対Labの対応表があれば、原理的にいつでも絶対的な色味を復元できます。
モニタについても、あるRGB値を与えると、画面はこのようなLab値で発光する、というような対応表があれば、望ましい任意のLab値で発光させたい場合のRGB値を得ることができます。
RGBを扱う装置(デジカメやRGBプリンタ)のICCプロファイルは、内部にRGB対Lab及びLab対RGBのテーブルがあり、CMYKを扱う装置(ポストスクリプトプリンタなど)のICCプロファイルは、内部にCMYK対Lab及びLab対CMYKのテーブルがあります。
(ICCプロファイルには多くの種類があり、絶対的な色味を表現する値としてLab以外も使用されることがありますが、ここではLab使用の場合を述べています。また、モニタのICCプロファイルなどはテーブルではなく、変換の為の計算に使用するべき値が設定されており、記述は事実と少し異なりますが、あくまで「原理」の説明ですので詳細は別の項目に記述します。)
ICCプロファイルを使用したカラーマネージメントの原理を図を例に見てみます。
まず、デジカメのRGBデータがデジカメ用ICCプロファイルに与えられると、すべてのRGB値はLab値に変換されます。次に「マッピング」と記された機能がモニタ用のICCプロファイル中のLab-RGB表を参照し、すべてのLab値をモニタ用のRGB値に変換します。
このとき、ぴったり対応するLab値がモニタ用ICCプロファイルにあればよいのですが、見つからない場合もあります。その場合は「何らかの考えに基づいた処理」を行い、その考えでの最適と思われるLab値を選択しRGB変換します。
「マッピング」と記された機能の主な処理は、この「最適と思われるLab値の選択」とその後の変換です。
RGBプリンタ、ポストスクリプトプリンタの場合も同様に、最適と思われるLab値の選択とその後の変換処理が行われます。
そのため、変換元のLab値に近い値が変換先のLab値に無い場合は、かなり異なったLab値が選ばれることになるので、希望通りの色味は表現できません。 ICCプロファイルを使用しても、完全に実物の色味が復元できない場合があることがわかります。
現実には、印刷物とプリントはほぼ同じ色味にすることができますが、モニタで見える色すべてを通常のプリンタでプリントすることは出来ません。
これはプリンタが表現できる色の範囲が、モニタの表現できる色域よりも狭いからです。
だからと言って、ICCプロファイルによるカラーマネージメントは無意味ということではなく、カラーマネージメントにより、見た目に違和感なく変換しますので、このような場合にこそICCプロファイルによるカラーマネージメントが有効ということができます。
ところで、図を見ると、RGBまたはCMYKからLabに変換するプロファイルと、LabからRGBまたはCMYKに変換するプロファイルがあります。
そして中間に「マッピング」という機能があります。
プロファイルには、このように「Labに変換する」プロファイルと「Labから変換する」プロファイルがあり、前者を入力プロファイル、後者を出力プロファイルと呼んでいます。しかし、プリンタプロファイルなどは、内部に両方の変換表を内蔵しており、たとえば、プリンタプロファイルにRGBやCMYKがパラメータとして渡された場合は入力プロファイルとして動作し、Labを返します。したがって、入力プロファイル、出力プロファイルというのはプロファイルの使われ方、といえます。
ICCプロファイルによるカラーマネージメントは、ICCプロファイルの出来の良し悪しがもちろん重要ですが、「マッピング」と記された機能は、具体的な処理はメーカに任されていますので、メーカごとに異なっていて、マッピングの結果に差があるようです。
これまでの説明では、この「ICCプロファイル」と「マッピング」の機能を具体的にどこに実装するか、を述べていません。
これについては、「カラーマネージメンをどこで行うか」で記述します。
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