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「ポストスクリプトカラーマネジメント」はプリンタメーカは推奨していないようですし、事実、必要になる場面は少ないと思いますが、誤って部分的に、この設定になっていると、思わぬ色味になってしまいます。
たとえば、PSプリンタにおいて、CMYKデータで、「シアン100%のデータがプリントしてみたら、緑がかって見える」といった場合は、ポストスクリプトカラーマネージメントが有効な設定になっていて、かつ、部分的に設定が誤っている、と真っ先に疑ってよいと思います。
このような場合にあわてないように、正しい設定方法も、一応知識として知っていたほうがよいと思います。
なを、プリンタ機種によっては、PSプリンタであっても、この機能を停止している場合もあるようですので、すべてのPSプリンタが次の記述通りに動作するとは限りません。 ご注意願います。
このカラーマネージメントは、プリンタ(RIP)内で「カラーマッチングの処理」が行われますが、プリントの都度、PC(Mac)から入力プロファイル相当の情報(Color
Space Arrey 以下CSAと略記)がプリンタ(RIP)に渡されるところに特徴があります。 また、扱う画像はEPSに限られる点も他の方法とは異なります。
したがって、アプリケーションカラーマネージメント、OSによるカラーマネージメント、プリンタによるカラーマネージメントのどれにも属さない方式ですが、しいていえばプリンタによるカラーマネージメントに近い方式です。
MacのOS-9を例に記述します。
プリンタ側の設定(各アプリケーション共通)
プリントダイアログの、「印刷モード:」で「Postscriptカラーマッチング」を選択します。
これだけでは、プリンタの動作が保証されません。「シアン」のはずが、「緑」になるなど予想外の色になることがあります。アプリケーション側でも、「ポストスクリプトカラーマネジメント」のための設定が必要です。
アプリケーション側の設定
Photoshop 5.5からプリントする場合、下図のように、「ポストスクリプトカラー管理」のチェックボックスがあります。ここを必ず「オン」にする必要があります。
このチェックボックスを「オン」にすることにより、「ファイル」−「カラー設定」で設定した「入力プロファイル」がプリンタに渡り、正常なポストスクリプトカラーマッチングが行われます。 「オフ」のままの場合では、CSA(入力プロファイル相当)がプリンタに渡らないので異常な動作となります。
最近のDTPの解説書などで、「ポストスクリプトカラー管理」のチェックボックスは「オフ」にする、との記述が多いですが、その場合は、絶対に、「カラーオプション」で「Postscriptカラーマッチング」を選択してはいけません。これはポストスクリプトカラーマッチングを起動させないためです。
動作としては、Photoshopで開いているCMYK(RGB)値と、「カラー設定」で設定してある、入力プロファイル情報(CSA)がプリンタに送られ、プリンタ内部(RIP)にある出力プロファイル相当(Color
Rendering Dictionary 以下CRDと略記)とでカラーマネージメントが行われます。
イラストレータ10の場合には、「ポストスクリプトカラー管理」というチェックボックスはありませんが、それに代わって、「プリントスペース」−「プロファイル:」という選択窓があります。
ここで、下図のように「ポストスクリプトカラーマネージメント」を選択すると、「ポストスクリプトカラーマッチング」が正常に行われます。 また、
イラストレータに張り込まれている画像は、、「ポストスクリプトカラー管理」を「オン」として保存したEPS画像である必要があります。
この場合も、「編集」−「カラー設定」で設定した入力プロファイルがプリンタに渡ります。「カラー設定」の例を下図に示します。
この例では、データがCMYKの場合には、入力プロファイルは「Japan standard v2」ということになります。
なを、カラーマネージメントは、入力プロファイルと、出力プロファイルがあって始めて成り立つものですから、プリンタ出力プロファイルも必要です。
出力プロファイル相当(CRD)は、デフォルトで、プリンタ(RIP)にROMなどに内蔵されていて、これを使用する場合は、下図の通り、「プリント」−「カラー設定」の「カラー:」で「カラー/グレースケール」を選択します。
しかし、さらに高精度を要求される場合などは、一台ごとに実測して、出力プロファイルを作成し、プリンタ内のCRD領域に転送・設定し、ROMに代わってこれを使用することも可能です。
この場合の設定方法は下図の通りです。
「プリント」−「カラー設定」の「カラー:」で「Postscriptカラーマッチング」を選択すると、「プリンタプロファイル」が選択可能になり、ここで作成したプリンタプロファイルを指定します。
この「プリンタプロファイル」は、プリンタに転送されるところが、Colorsyncによるカラーマネージメントと大きく異なるところです。
上記のように、「ポストスクリプトカラーマネージメント」はアプリケーション側とプリンタ側の両方の設定が正しく設定されたとき、正常なカラマネージメントが行われますが、どちらか一方だけの場合、一方の設定が無視されるのではなく、誤った動作をする、という厄介な動作をしますので、十分気をつける必要があります。
繰り返しになりますが、この「ポストスクリプトカラーマネージメント」はプリンタメーカは推奨していませんし、動作しないPSプリンタもありますので、知識にとどめておくことをお勧めします。