(1)オフセット印刷機のカラー調整機能

 オフセット印刷機で印刷する場合、色味が変動する要素としては、刷版作成時の露光時間や現像液の状況などがありますが、多少の変動は実際に印刷してみて、濃度を目視または濃度計で確認し、印刷機の標準機能である、「インキ壺コントロール」で濃度を調整します。「インキ壺コントロール」はオーディオ・ミキサーの「スライドボリューム」のようなもので、CMYK独立に濃度が制御できるので、印刷機側の変動を吸収できるとともに、入稿されたデータのプロファイルが印刷機の標準的なプロファイルと一致していない場合でも、それをある程度吸収できました。
 したがって、見本に合わせる、または見栄えを良くすることがある程度出来、印刷機オペレータの腕の見せ所でした。
 しかし最近では、自動的に「一定の特性」で印刷できるような機能を持った印刷機が開発されてきました。その「一定の特性」として、日本では、「Japan color 2001 coated」が代表的です。
印刷機オペレータの腕を見せる機会が減るどころか、目視によるカラー調整は禁止している印刷会社が最近では多くなってきました。

(2)プリンタのカラー調整機能
プリンタ本体、またはプリンタドライバの設定項目に「濃度調整」がある機種が多いですが、通常は、用紙別やプリント速度別など、メーカが用意した「推奨設定」のメニューの中から設定を選択してプリントすることが行われています。
そのほかのカラー調整方法としては、ICCプロファイルを別途作成して、これをドライバで選択して使用することも行われています。

 プリンタの濃度調整機能は印刷機のものと異なり、部分的な濃度は制御できません。そのためプリンタでは、ユーザが自由に色味を変更できませんが、適切な保守を行っていれば、色味は安定しています。したがって正しくプロファイルを適用すれば、安定して正しい色味でプリントできます。


(3)印刷機での印刷の実例

写真は、中綴じの小冊子、2冊を伏せて裏と表の表紙をデジカメで写したものですが、上下とも同年月に発行されたものです。裏表紙の広告の濃度および色味がかなり異なることが分かります。広告の原稿は同じ濃度のフィルムを元にしていると想定されますので、本来は同じ色味になるはずです。

この原因は、まったくの推定ですが、(1)で記述したように印刷機の色味はコントロ−ルできますので、いずれも表の表紙の見栄えを重視して印刷機オペレータが色調整した結果、裏表紙の広告にしわ寄せがきたものと思われます。(おそらく広告ページの色味には厳密な指示がなかったのでしょう)

「雑誌広告基準カラー」は、こうしたことになることを恐れた某自動車メーカの発案とのことです。
印刷機の特性として、「雑誌広告基準カラー」が印刷の発注元から指定された場合、印刷会社が異なっても、印刷機が異なっても、印刷結果は「雑誌広告基準カラー」という特性に則っていなければならないのですから、上記の広告のページは同じ色味になります。そのためには、印刷オペレータはもっぱら印刷機を、求められている特性を維持するように調整する必要があります。ということは、おもての表紙の色味はどうなるのでしょうか。広告と並べて印刷するのですから、当然この部分も「雑誌広告基準カラー」が適用されるため、オペレータがこの部分だけ色を変えることは出来ません。おもての表紙の写真の色味は印刷オペレータが操作できるものではなくなり、デザイナなど、DTP担当者の責任になります。

印刷機の特性として、「雑誌広告基準カラー」の例をあげましたが、その他にも「DIC」や「TOYO」、「SWOP」、「ジャパンカラー」などがあります。これらを「入力プロファイル」または、「ターゲットプロファイル」などと呼びます。なを、最近注目されている入力プロファイルに「Japan Color2001coated」があります。これは、PhotoshopCSなどAdobe社のアプリケーションに標準で添付されています。デザインの段階で、印刷会社が決まっていないときなど、とりあえずこれを入力プロファイルとして選定して、プリンタで色を確認しながら作業を進めておくと、作成した電子データは標準的な印刷機で標準的な印刷をした時、ほぼプリンタと同じ色味となります。
 最近は印刷機の特性を、「Japan Color2001coated」に設定し、「Japan Color2001coated」の特性で作成したデータをインターネットで受け入れて、色校正を省略することも行われています。



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