MSXturboRのキーボード修理
(2004/12/21)更新…海外のMSXユーザー向けに、Exciteの自動英訳で日本語が残る部分を修正しました。English Here(automatic translation).
皆様のMSXはお元気でしょうか?え、リターンキーが効かない?ESCキーも調子が悪い?強く叩かないと反応しない?
それはいけません、動いて欲しい時に動いてこそよい道具と言えるのです。10年も使っていれば調子が悪くなるのも当たり前、今でもMSXを使おうなんて人は漏れなくマニアなんですから、ちょっとした故障は自分でメンテナンスしてあげましょう。
これはかつて「似非セミナー(Ese Seminar)」の中で私が担当していたコーナー「MSX修理講座」で使っていたテクニックです。
非公式なやり方ですが、十数台をこの方法で修理しました。
ここではturboRを使っていますが、松下(Panasonic)のMSX2+であれば全く同じ要領で修理できます。
今回の修理対象、ニューファンキー小林さんのturboR(FS−A1ST)。
RETURNキー他いくつかのキーの反応が悪くなっています。
実は撮影したのは2001年…もう3年も前ではないか!
キーボードを修理するためには上キャビネットを外す必要があります。
「上キャビネット」というのは本体カバーのことです。一般的な呼び方ではありませんが、松下電器のテクニカルマニュアルにそういう名前で載っています。
まず、裏返してネジを外します。外すべきネジは赤い丸で示した5本です。
スロット1の真下にある2本のネジはスロットを固定するためのものなので、上キャビネットを外す時には必要ありません。ちなみにこの写真の側は「下キャビネット」と言います。
先に時計のバックアップ用乾電池を外しておきます。
これは紳士のマナーです。
写真ではアルカリ電池のようですが、本当はマンガン電池の方が長持ちするそうです。
ネジを外します。
ちなみに分解しているのはMZKさんです。
写真だと普通に分解しているように見えますが、顔の横からカメラをねじ込むようにして撮影しました。
無理な姿勢で撮影させたのに、3年も放置してごめんなさい(私信)。
5本とも外したら、ここに工具を入れて写真のように上に持ち上げます。そうすることでキャビネット上下のプラスチックの爪が外れます。
写真ではアーミーナイフでやっていますが、これは単にマイナスドライバーが無かったからです。
本体の右側に力を入れて持ち上げ、次に中央手前を外します。
さらに左側を外します。ここを外すのは結構力が必要です。
一度外した爪がまたはまってしまったら、再度そこからやり直します。
さらに本体左後部の爪も外したら、ディスクドライブのイジェクトボタンを引っかけないように全体を持ち上げます。
と、上キャビネットの基板とメイン基板は繋がっているので、コネクタを外してあげましょう。
拡大写真。
このようにSTは2本のケーブルで繋がっていますが、GTだと一本になっています。
根元のコネクタに近い部分を持って、垂直に引き抜きます。
後で組み立てる時も同じ場所を持って差し込みます。
完全に上キャビネットを外した姿です。写真の左上に写っているのが上キャビネット。
次にキーボードを外します。
キーボード上部を固定している3ヶ所のネジを外します。特に注意することはありません。
さてここからが大事。ネジを外したら、右側を支点にしてそっと持ち上げます。
写真に写っているのがキーボードとメイン基板を接続するフィルムケーブルで、ここを破損すると直らなくなります。
無理な力がかからないように、ゆっくりゆっくり。
完全に倒したところ。
本体側のコネクタからフィルムケーブルを抜きます。
両手でケーブルの端を持ち、垂直に引き抜きます。上キャビネットのコネクタよりずっと固いので手を離さないように!
あと、フィルムの端子部分も触らないようにしましょう。(もし触ってしまっても、アルコールで拭けば大丈夫です)
完全に抜けたところ。裏返ったキーボードです。
左の指を指しているのがフィルムケーブル部分です。
次に裏のネジを全て外します。外し終わったら、鉄板の両端を持ってそっと持ち上げます。
左が、鉄板を外したところ。
このキーボードフィルムを外して掃除します。
右がキーボードフィルムを外したところ。
穴にバネが入っているのが見えますが、これは穴に入っているだけで固定されていません。必ずこのままそっと置いておくこと!
バネをなくすとそのキーは使えなくなります。
全体を机から落としたりしたら…終わりです。
さて、平たい机の上にキーボードフィルムを置いて掃除します。
便宜上使い分けましたが、先程「フィルムケーブル」と言った部分と連続しています。テクニカルマニュアルだと「フレキシブルパターン」と言います。
※今はメンブレン(membrane)という名前が一般的です。
滑らかで固い紙(ここでは名刺を使いました)を持って、力を入れずにごく軽くこすります。
全く効かないキーは綿棒とアルコールを使ってもよいのですが、ほとんどの場合はこれだけで直ります。
せっかくだから全体をこすっておきましょう。
フレキシブルパターンは導電性インクで印刷された外側の層と、真ん中の穴のあいたフィルムの3層からなります。
というわけで裏側も同じようにこすります。
強くやるとインクが剥げてしまうらしいので、指の力を抜いて軽くやりましょう。
あとは、シートに折ったり曲げたりしないよう注意して下さい。少しでも曲がるとかえってキーの接触が悪くなります。この写真は見せるために大きく開けていますが、本当は二つ上の写真のように「すき間から突っ込んで」作業するのが理想的です。
掃除の終わった名刺。うっすらと汚れがついているのが分かります。
指の汚れじゃないぞ。
あとは逆に組み立てて終わりです。組み立ての時の注意は、
・ネジを締めるときはいきなり右に回さず、左に少し回してネジが落ちる所から右に締めます。これは受け側のプラスチックにネジを切ってしまわないためです。これを守らずに何度もやっていると、ネジが締まらなくなってしまいます。(メス側も金属の場合は特に意識しなくても平気です)
・テストを意識しつつ組み立てましょう。キーボードの裏のネジは最低限にして、BASICを立ち上げて十分にチェックします。上キャビネットのケーブルは繋いでおかないと内蔵ソフトが立ち上がってしまうので、とりあえず繋げておきましょう。
・キーボードのバネをなくさないこと!カーペットに落とすとまるで見えなくなります(経験者は語る)。その時は泣きながら床を這い回りましょう(経験者は語る)。
備考…写真撮影:2001年8月(?)「南関東MSXユーザーの集い」にて
協力:MZK(モデル)、ニューファンキー小林(MSX本体の提供)