Another Land

ましろ・
MSX・FAN1993年1月情報号掲載(投稿作品)

MSXPLAYer…正常動作


MSXに面白いゲームはたくさんあります。しかし「素敵なゲーム」となると滅多にありません。そんな数少ないゲームの一つがこの「Another Land」です。

そんなゲーム知らないという方がほとんどでしょう、確かに私以外の人でこのタイトルを覚えている人に会ったこともありません。MSX・FANの掲載作品としては後期に当たりますが、この頃は投稿作といえども演出に凝った作品が増え始めた頃で、音楽もなくグラフィックも地味だった本作にはスポットは当たっていませんでした。

しかし本作の透明な雰囲気は、投稿作にありがちな子供っぽい作品群を寄せつけないものがありました。また、技術力がなくても十分に面白いものが作れるという点でも再評価されるべき作品であると思います。

1955年1月30日、火星への有人飛行へ飛び立った宇宙船がトラブルにより軌道を離れてしまう。主人公の意識が戻った時、そこは…?

…かぜのおとが きこえる
くさのかおり
そして ひのひかりも

しかし…
なにかが ちがう


十分に容量を使える市販ゲームと違い、雑誌への投稿作品は容量が少ないほど掲載の確率が高くなることから必然的に容量を削る方向に向かうものですが、この作品はそのあたりが見事に成功しています。

無駄のない文章、これがとにかくカッコイイのです。


ゲームはいわゆるRPGの形を取っています。マップを歩いているとランダムに敵が出てきて、戦いに勝つことでレベルが上がり強くなっていき、行動範囲も広がります。

グラフィックは簡素な上に音楽はなく、戦闘の時もなんと「かんさつする」というコマンドで文章で敵の姿を解説してくれます(このコマンドは回数に含まれません)。ヘタなソフトなら手抜きと言われかねませんが、オリジナルのモンスターに対して想像力をかき立ててくれる程度の解説が入るので、新しい敵に出会うとつい「かんさつ」してしまいます。


ところどころにある村に行くと情報を聞けます。先に進むための情報もありますが、多くはこの世界に関しての話が聞けます。進むにつれてアリアンティアとはこの星の名前、そしてウルシュダクとはアリアンティアの衛星であることが分かってきます。この世界を滅ぼそうとする「小世界人」の陰謀とは何か?

ストーリーそのものはそんなに目新しいものではないですが、見せ方のうまさが際立っていたため今遊んでも十分に楽しめます。2時間程度で終わる短編RPGですが、終盤に長老が集まる演出などでうまく盛り上げています。

エンディングは2種類あり、最後の選択で決まってきますができれば最終ボスを倒してこの星に残るエンディングを見てください。レベル20〜21程度あれば楽勝でしょう。もっとも、最後のセーブポイントからどちらでも見ることができます。

ちなみに終盤で回復薬が手に入らなくなることがありますが、その場合手持ちの薬を使い切らないと新しい種類の薬はもらえないことに注意しましょう。(サッサルのみず→IOD−57)

今ではADSLなどが普及して、オンラインで大きなデータを配信するのにさほど抵抗はありません。しかしこの当時はパソコンでの通信が一般的ではなかったため、雑誌メディアに頼るほかありませんでした。この「Another Land」の容量は圧縮された状態で15KBしかありません。それでもMSX・FANはフロッピーディスク(2DDですから、全体で713KBです)を付属させていたため、まだ恵まれていた方でしたが。

とは言え、こういう地味な作品はMSXと言えども即売会などで単品として売るのは難しいため、雑誌というメディアだからこそ評価されるスタイルだったと言えるかもしれません。誌上でも大きく取り上げられる作品ではなかったものの、こうした良作を取りこぼすことなく掲載していたMSX・FANという雑誌は良心的だったのだなあ、と今になって思います。

ちなみに作者の「ましろ」さんはこの一作のみで他には特に掲載されていないようです。どなた情報をご存じの方がいらっしゃったらご連絡を。

<return>