●鬼が来た
監督・主演チアン・ウェン  香川照之 チアン・ホンポー 澤田謙也
中国の寒村、「私」と名乗る男がやってきて、麻袋に詰めた日本兵と通訳を、押しつけていく。
「私」が、引き取りにくるまで、生かしてかくまえ!
そう、命令されたマー、初め村人達は、貧しい生活をきりつめて、必死で2人をかくまうのだが・・・



う〜ん・・。
あらすじ、書く手も、重い・・・。
すんごい映画でした・・・。なんて言ったらいいのだろうか・・。見た後に
ずしーーーーんと、重い気持ちでいっぱいになってしまった。
戦争はいやだ!なんて言うだけじゃ、おさまりがつかないなぁ〜・・。
日本軍が、中国でなにをしたか?なんて問題だけでもないしな・・。う〜ん・・・

この、主人公の花屋君・・・最初は、日本軍人として、「チャンコロ」にと捕らわれた事を恥じ「殺せ!!殺せ!」
と、わめきちらす。その上、「私」は、永遠に現れない・・困った村人は、2人を、処分しようとするのだが・・人のいいマーは、それができづ、
山に、かくまってしまう・・・
そのうち、花屋と通訳は餓死しそうになるのだが・・・生に執着して自己愛からか?
村人に対する、反抗的な態度がなくなり、情けぶかくなり涙する2人
今まで、食わせてもらった「チャンコロ」である村人に感謝するようになり、彼らの「お礼」を約束して、逃がしてもらうことにする。
花屋は、意気揚揚と、村人を引きつれて、「お礼」の出所の日本軍基地へ戻ったはいいが・・、日本軍隊長は、花屋の生還を喜ばず!
ビンタにあう花屋。・・しかし、、「日本人は約束を守る!」とかなんか隊長の変なプライドで、肝心の「お礼」の穀物は、いっぱいもらう事ができるのです。
・・喜ぶ村人・・めでたし。めでたし。・・な訳ないんだ・・・・・

なんか・・いやな予感・・・・ドキドキ・・ドキドキ・・わなわな・・・。

思いは、敵中!(|||_|||)ガビーン
「穀物」を祝う楽しい宴は、大殺戮の場となってしまうのです。ことの始まりは、隊長の独自のいいがかり<理論>と、
花屋が、隊長になれなれしくしたシナ人を殺してしまう事から、始まってしまう・・・・!!
もう、大虐殺になるのです・・・・・・女・子供・みな殺し。

そしてラスト終戦・・・花屋をかばいつずけた、マー<シナ人>は、なんと、花屋にあっさり首をはねられる・・

う〜・・ん・・で、何が言いたいって・・・
その・・あの・・この花屋の行動・気持ちが、一見ちぐはぐに見えても、実はとてもリアルで、ありえる行動なのです。
強引に共感してしまうような・・・その場、その場で、本気な花屋。植えつけられた軍人魂というのかな・・・。
戦争がひき起す「狂気」なのです。
でも、それがとても、自然に入ってくるからこの映画は、すごい!と。
観ていて「怒り」を感じるべき場所なのに、観る側の感情が、流れに飲みこまれてしまうのだ。
・・あああ・・・ううう・・抵抗できなくなっちゃう・・。怒りが止まっちゃう。
「花屋!!なんてやつなんだ!!死ね!!」って単純に言いたいのに・・・言えない。

あんなに命越えした花屋が、マーの首をはねる時、
首にとまった虫を払うのですよね、器械的に。なんの感情もなく。
そして、何度も慎重にしきりなおしまでして・・・よし、とばかりに、
「準備できました!!」で・・。・・・ばさ!!
コイツなんなんだ??・・・って普通なら思うのに、思わせないないんだよね。
納得しちゃうのよ・・・なんか。
花屋の気持ちもわかっちゃう。
この状況に、「戦争」に、観客も、引きずり込まれてしまうのです。
見ている私側の「常識」も、個人の精神も、「私」こそも、みんな、なくなってしまう!!
完璧に、この状況に巻きこまれてしまうのです。

もしかしたら、コイツ、この刀で、自決するのかな??とは、一瞬思いましたが・・・そんな単純なお話ではありません。
演出も、すごい!!はねられた首が、笑うのです・・・画面はカラーになり・・・。
まったく、意味のない、理不尽な死が、完結した・・・そんな感じしました

笑う「首」みて、ほっ・・っとした。・・・
マー、よかったね。、狂気の世界から離れなれるね・・・


突然のカラーの画面が、またほっとさせる。白黒画面の今までが、「うそ」世界みたいに思えて,
やっと、みている私も現実に戻れる・・・。ほっ・・

でも〜結局なんなんだ・・・??今までの話は??
なんなんだ〜!!<声を大に>−
でも、それが「戦争」なんだよね・・・。
戦争って、幻想なんだ・・人がつくった幻想・悪夢・・。

それと、このお話、日本軍だけ悪者に描かれてないのよね。
最後は、中国軍の指示で、首をはねられるんだもん・・・。すごい!!

私は、もちろん戦争体験者ではないけど、まるでドキュメントを見るようで、
おそらく当時は、こんな感じだったんだろうな・・・と。
もう、誰が悪いのか? 敵なのか? どの国がどうなのか? わからん状態で
考えることができない精神になってしまう・・・。
逆に、トップの人は考えて考えて、理念と自己防衛でがびがび状態。
いちばん、人間らしいのは地を生きる「百姓」さん達なのに・・・それが、まったく無力なんだよな・・うざいぐらい。
無邪気な村人が、「チャンコロ」まるだしで、まるで下等のようにあつかわれ、またそうみえるから、恐い。
まあ・・無邪気だから、こんなめにあうんだけどね・・・
なんだか、楽天的に生きることに、とまどいを覚えますよ・・・・。

もうひとりのポイントは、この「終戦」を隠していた隊長・・・。これは、意味深い。
誰かが悪者だとしたら、絶対コイツなんだけど、これがあまり、悪」に見えないのが、またすごい!!
かっこいいんだよね・・・・。カリスマむんむんで。
ああ・・・きっと、崇拝しちゃうだろうな。善悪関係ないって、かっこいいもん。
なんか、付いていきます〜!立派なお方!みたいに。

三島由紀夫を、思いおこしました・・・。中国の隊長も、これまたかっこいいんだよね・・・やさ男で。
監督はそのへんも意図してるんだろう・・。こーゆー人達が勝手に「戦争」するのよ。
だって、動物の生存競争と違って、人間の戦争は「自我」の争いなんだもん。言葉しゃべる、理念のある奴がするのよ。
無邪気に「性」や「生」を、まっとうしている村人みたいな人間には、関係ないんだよね〜。
それでいて、痛い目をみるのは、そおいうあたりまえの人間達。
最初のシーンが、セックスってのも、意味深で、悲しいよね〜。
大衆はばかだ!って言った、どこかの教授がいたけど、ばかな大衆は、こんな戦争しないって。
誰かに、先導されやすい馬鹿さは、たしかあるんだけどね・・

最後にこの監督ってすごい計算してるよな。スゴイ・・。
でも、役者としては、どうだろう?? マーは、彼でなくてもいいじゃないかな??


ナチスドイツが、こんなに世界的にオープンなんだから、日本も、「南京事件はない」とかなんとか
もめてないで、やってきたこと、オープンにしたら? なんて言うと、右翼が恐いかな・・( ̄_ ̄ i)タラー
だいたい、この「私」は共産軍とか? 赤がとか?
もーーー、話しが、恐そうで気楽に書けません<汗・・>
とにかく、恐い映画なのに笑えたりして、すごい!のひと言です。 
☆☆☆☆★

めずらしく、くどくど、ダラダラ書いちゃいました。だって、黙っていられない映画なんだもん。



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