第10章 はじめての技術報告 |
タコだって やってみせるぜ 報告書っ |
■ 技術報告書・論文 | 一つの実験をした(新知見を重視した)科学性を追及した報告書。他の人が再現試験・調査できるように国際的にほぼ共通な一定の形式がある。すべての論文の基本形。 |
■ 総説(またはレビュー)・論文 | 課題を見つけるためにおこなう。他の人の文献・情報を数多く集め、内容の分類をして対象分野の実態を網羅して自分の解釈を加えた調査報告。入試論文などはこの分類に入る。 |
■ 調査報告書 | 課題を提示されて行う。調査目的によりいろいろな体裁、パターンがある。社会問題であれば、フィールド調査結果と文献収集結果とをあわせて総説にします。 事業目的であれば、経営の4Mを中心にした内容と実施へのマイルストーンをまとめます。 |
■ 学位論文・論集 | 総説に加えて、過去の自分の行った調査と研究論文をまとめて一つの分野の新規性のある情報を集大成して発表したもの。製本される。 |
■ ビジネスの場の報告 | 実行する視点で作られ、重要度で分類され、理解することを優先し、判断根拠の詳細データが添付されている報告。企画書や年度報告書などもこれに入ります。 |
■ プレゼンテーション | 相手を納得させ一定の判断に導けるように情緒的な反応まで計算されたショーのシナリオ |
■ 特別講義 事故報告書 | 事故時の企業としての対応、その報告の視点を特別講義。事故報告書は時系列の事実中心の報告です。 |
■ 知らないと恥ずかしい起承転結
起承転結の意味を答えられますか?4コマまんがの作り方と答える人は読んでおこう。
(案内)
ビジネスの場での報告書は技術報告書でもここで説明されている書き方をすると、学生のやりかたと煙たがられることがあります。まず目次から「ビジネスの場の報告書」を読んでください。ここでは学会や、公式の場での技術報告の様式を学びます。
事務系の報告書では、序論・本論・結論という報告の理解の仕方でよいが、技術系(というより科学の態度)の報告書は、他の人がその報告書の結果に興味を持ったときにその世界の大学卒業者なら再現テストができるようなレベルで書かれます。
技術報告書や論文には、自分の着眼点が社会に役立つ有効性を主張し、それは新しい考え方だと証明し、自分の主張する方法や文献は信頼できますという3つの内容を含んでいる必要があります。そのために、世界共通の様式化した報告パターンが存在します。
次の1〜10までの項目名をこの順序で書けば技術報告書は出来上がります。
論文とは言っても、、世の中には企業などが懸賞金を出して、学生にたいして将来の夢を論文にしなさいというような意味での論文がある。これはどちらかというと、世の中の実情を述べた後自分の意見を陳述するだけだから、総説の部類に入ります。目次からそちらを参照してください。受験論文を勉強したいひとも、総説の方をみてくださいね。ここでは総説作成能力は皆さんにすでにあると考えて説明しています。
また学会によっては論文と報文、あるいは技術ノートなどは異なる概念としてあつかっている場合もあります。通常はその学会の投稿規程に記載されていますので、調べてみてください。
報告のタイトルです。あなたの成果を多くの人に見てもらうときの顔。他の人があなたの研究成果に目を止めてくれるかどうかはこのタイトルでほぼ決まる。タイトルが長ったらしいと見てもらえないし、他人の興味のあるキーワードがないと見てもらえない。とりあえずタイトルをつけておいて、報告作成終了時に色々頭の中がクリアになっているはずだから、それから改めてつけなおすほうをお勧めする。
論文は新規性が前提ですから、「・・・・の新しい方法」などとタイトルをつけるのは変な感じを与えます。あなたの主張は新しいものだから論文にするので、いまさら言うとおかしく聞こえてしまいます。論文の中で、既存の方法と自分の方法の相違点をわかりやすく記述することで相違を際立たせて新しさを主張しよう。
最近は権威ある学会では日本での発表でも報文には英文のタイトルも平行して記載するように要求されるケースが多いようです。 海外での発表時に要旨を書いたりパワーポイントなどで発表スライドを作るときには字体に注意することが必要です。日本で販売されているMS OFFICE に入っている字体だからといって、自分のパソコンで正確に表示されていてもアメリカのパソコンで意図どおりに表示されるわけではありません。たとえばMSPゴシック体で書くと、一部に文字化けが出ます。日本でいうゴシック体で表示したければ、Arial体で書いておくことをお勧めします。
筆者はMSPゴシック体でスライドを作っていたため、アメリカで学会発表前に図のレイアウトがゆがんだり、表示が重なったり、文字化けをいたるところで発見して、発表直前に必死でスライドの字体をArialに書き換えたことがあります。パソコンで自分の発表をチェックしようとしていた他の人たちにも迷惑をかけました。ごめんなさい。
あなたの名前と思ったら大間違い。あなたのプロジェクトには多くの人がかかわってできている。その人たちの名前を並べておくのが常識です。それも順番を間違えるとあとあと組織内で意地悪をされる元となる。信頼できる先輩などに相談するか、過去の人たちの報告にどんな順番でかかれているかをチェックしよう。 あなたの成果が世間で評価されるレベルであればあるほど、このことは重要になります。分かりやすく言えば上司にも他人の成果をとってでも有名になりたいひともいるし、そこまで行かなくても、あなたを指導したことを社内で示したいはず。あなたを信頼し予算と時間をつけてくれた上司は大事にしよう。
著者の所属を著者名のならびに書く雑誌や、脚注で記載するケースがあります。 著者の所属は同じ会社内での発表なら省略できても、外部の発表では代表著者の組織名や部署、住所、電子メールアドレス等が要求されるようになりました。きちんとした学会の報文では英文での併記も求められますから略称ではなく正規の内容を正確に書くようにしておくべきです。他の共著者についても*2などの注釈をつけて所属と役職を記載することが求められます。投稿規程に従うようにしてください。
あなたが世界で一番初めに明らかにしたかどうかが問われるときは、とても重要になります。この日付で特許がとれたりとれなかったりします。
また人事考課や転職などの機会に、あなたがいつ頃あの仕事をやったかを見直すときが必ず来ますから、そのとき日付がないと調べるのにとても時間を食います。実験ごとに報告する習慣をつけましょう。あなたがとても優れていることを見せようとして大論文を書くまで多くの実験の報告をためこむと、上司や周囲からは、何もしていないとか、あいつは抵抗しているとかいう目で見られがちです。
アブストラクトとは抽象するという意味合いが強く、キモだけを抜き出したものという意味です。事例は少ないですが、要約などともかかれます。雑誌に投稿する場合には文字数が制限されているのが普通です。
世間の利益となる目的のために、何の対象領域をこんな方法で研究したら結果はこうなった、という内容が入っているコンパクトな文。
報告のキモを短い文章で書きます。
要旨を書き始めて、目的を書いているとついその背景まで説明したくなりますが、それは「はじめに」(または、序・緒論・序論とも書かれる)のなかで説明するものです。
難しいことですが、むしろ目的のキーワードを吟味して背景も意図も一発でわかる言葉を選んだ方が良いです。
学会などで発表すると、パソコンからアクセスできるデータベースで世間に触れるのはこの要旨までと思ったほうがよいです。実験した目的などは、人にアピールする部分ですし、新しくわかったことは、多くの人の興味を引きます。美辞麗句で人をひきつけようとしてはいけません。苦労した点や余計な形容詞は極力避けます。
ガンの特効薬発見などという人類史上よほどの大発見であれば周りが騒いでくれますが、通常の研究なら、この要旨の書き方一つであなたの成果が世に出るか、埋もれてしまうかがほぼ決まってしまいます。何度も書き直す心構えが必要です。この訓練は、あなたの成果を会社の役員の前で口頭説明するときにクリアーな表現ができる準備になります。
また、この訓練をしておけばお客様の前での商品の売り込みもきっと上手になるでしょう。 タイトルと要旨に思い悩む時間が多ければ多いほど、あなたはきっとコピーライターになれる能力を身につけるはず。歳になる前に若いうちから訓練しておいた方がよい。
権威ある雑誌ほど、アブストラクトまでは 英文で書くことが要求されます。筆者も英語が苦手でしたが、どうしても海外学会へ報文を投稿する事態になって初めて英語に取り組んだ経験があります。本気になると周りじゅうに参考書があり、かっこうよく英語で活躍している人たちの「あんちょこ本」の存在があることを知りました。
それ以上に雑誌に載ってからは、世界中から反応が来ますので、世界の見え方が変わってきます。君の能力でできることです。アブストラクトくらいの英文は我慢して作ろう。そうすると数回発表後には自信がつき、さほど英文を作ることが壁にはならなくなります。英語で書けば世界に可能性がひろがります。報文内容が誰かの目にとまれば、君の未来が変わる可能性があるのだからね。人生でがんばるときだよ。
アブストラクトの下にキーワードを要求されることがあります。Yahoo などではすべての記載内容から検索データベースがつくられていて、私達がキーワードを指定することはありません。しかし雑誌の報文などを検索する商用のデータベースの仕組みでは、Yahoo以前の技術で仕事の仕組みが形成されてきましたから、いまだにキーワードが要求されています。キーワードの選択一つで検索してもらえなくなりますから、自分の報文を見てもらえるようによく吟味しましょう。
英文の文体について。タイトルなどにはArialなどゴシック体に近いものが要求されますが、英文文章には Century Old Roman とか、 Times New Roman 等を使っておくほうが無難です。
どのような実験をしたにしても、次のような調査と動機があって開始したはずです。あなたが予測した仮説を他の人に理解できるように記載します。次の内容をはじめにのなかで書きます。
文献引用した他者の研究結果は過去形で書きます。現在形で書くとその事実はまだ公理になっていないと反発する人も出ます。
緒論などと会社内で書くと、「何を学者ぶっていやがる」とやっかみ半分の反撃を食らうこともあるかもしれませんが、どのような報告をするにもこの部分は必要です。というより、そもそも実験に入る前に仮説はあるはずです。企業内報告書にはじめにの部分を書かないときでも、上司達への説明時には、口頭でこのはじめにの内容を説明するはずです。他者にあなたのやった成果をわかってもらうには、この内容を示すことで活動の意義が確認してもらえます。報告書に入れる入れないは別にして他者とのコミュニケーションのために必ず作りましょう。
内容を見て、「おや、総説と同じじゃないか」という人もいるでしょう。そのとおりです。研究の前には必ずが文献調査行われます。調査しない研究なんてありませんね。総説を作る作業と同じ情報収集活動と収集した情報の分類加工を行い、問題が絞り込まれて展望作成がおこなわれています。一般に言われる総説はここまでで作業が終わりますが、研究は次のステップに入ります。
すなわち、さらに展望の一部分に研究のターゲットを絞り、集中的にその部分の情報収集して仮説をつくり、検証のための研究が開始されます。その検証のための実験の部分に関する総説がはじめになのです。絞り込んでいったプロセス説明がはじめにで記載される内容です。
はじめにで、過去の背景を詳細に書くと論文ではなく総説になってしまいます。ここでは問題の所在がなんであるかの仮説を示し、解決することの意義を、研究の目的として、あるいはねらいとして読者に提示します。 だから、背景説明には仮説の説明に必要なものだけを紹介するにとどめます。ただし反対意見はできれば紹介しておくべきです。
「はじめに」のなかではそれまでの研究を概観しますから過去の文献の記載が必要になります。
文献引用時にはその著者が一人の場合には、「石田(2006)によると・・・」など年号を入れて書かれることが普通です。この場合自分の論文の文献リスト番号から引用文献番号を右肩に付記します。説明している文章内に入れるのは当然ですがどこに入れるかはかなり趣味の世界です。
同じ文献内に著者が複数の場合には「著者らはこう主張しているが(石田ほか、2006)・・・」のように記載します。
同じ内容を複数の文献で扱っていたときなどには、「本主張は多くの類似の文献が見られ(石田、2006:黒川、2007)・・・」等のように記載します。
将来あなたの研究が認められ、仕事がもっと大きい領域に広がったときにひとつひとつの報告書のはじめにの部分で引用した文献リストを大事に保管していれば、大きい領域のことを話してくださいと新聞社などから要請を受けたときに短時間で総説を生み出すことができます。はじめにに書き込んだ文献は保管しておくべき大事な文献です。
実験方法や調査方法は、できるだけ具体的に書きます。測定機械のメーカーなども記録します。
その分野で初めて適用した実験方法なら、原理(理論)からその詳細なやり方までを記載します。実験方法の前に「****法について」と言った項目を立てて、原理の説明をすることもあります。簡単に言えば実験方法には実験計画と測定法のマニュアルを書くと考えればいいでしょう。もし、自分で測定機械や道具などを作った場合には、実験方法の後に「****装置について」などと新たな項目をたてて説明します。
しかし、すでにその分野や業界では一般に行われている実験方法が使われた場合とか、2回目以降の実験とかには、煩雑ですし、測定データが見たいだけの世界もあるでしょう。そういう場合には、「****法を用いて測定した」という一文で済ませることも多いです。一行の場合でも、実験方法の項目名称は省略しないのが通例です。
論文には、苦労話は記載しませんが、研究上苦労した点を書くばあいがあります。結果を得るためにブレイクスルーした方法や器具、治具、開発したソフト、測定器具などは論述の流れを壊さない範囲で入れてゆきます。
実験方法の項目をマニュアル的に記載するとは言っても、全くの素人のために書くのではなく、その世界の人が読めば追試できる程度に書いてあればよいのです。
アンケートなどは、アンケートのやり方とアンケート用紙の項目、その後の解析方法などが記載されます。
フィールドワークでも実際に行ったことは実験方法という名前を野外調査方法などという名前に代えてここに書きます。すなわち研究の手段がこの部分の記載内容です。
結果にははじめにで提示した仮説に対して、事実はどういう結果だったかを表やグラフを示して明確に記載します。企業内での報告には、生データが要求されることもあるでしょうが、学会に提出する論文なら統計データをみやすいグラフなどの形にするのが礼儀です。
グラフや表の書き方もルールがあります。
グラフの表題はグラフの下側に「図1 古代エジプトビールの・・・」または「Figure 1 Ancient Egyptian ・・・・・」などと書きます。 Fig.1 など省略形を使うときもあります。数字はその報文内では連番にします。グラフでは上のほうに表題を書くと間違いです。その理由はグラフを外挿して数値を読み取るときの障害になるからと教えられました。
表の場合には、上に「表1 ・・・の一覧表」または「Table 1 ・・・・」などと表題を書きます。表は下の方に伸ばす可能性があるからと先輩から聞きました。海外でもこのルールが守られています。
表と数字の間にハイフンを入れたりすることを要求する雑誌もありますが、とりあえず自分の報文内では統一して書いておきましょう。第1表の次に表2などと書くようでは全体の推敲(すいこう)がなされていないと判断されがちです。
デザイナーが一般の人々にこのルールから外れた表題の記載方法をすることがありますが、こういう書き方をすると査読をする先生方は容赦なくNO!といってきます。雑誌の権威にかけて、表現の統一性を守っているのです。
だからといって、一般の人々を対象としたプレゼンテーションで図1のタイトルを上側に書いたからといって、「けしからん」という必要もありません。学術のクオリティを下げることとは何の関係もないジャンルのことだからです。論文では、学術のレベルを落とさないためには、世間から見れば、いっけん馬鹿に見えるほどのことでも細部にわたって推敲しなさいということなのです。
本文で説明をしていない図表を報文の中に入れてはいけません。
グラフのどの点に着目すべきかを示して、結果につなげて説明をします。いくつかの実験をした場合には、実験ごとに小項目を分けて仮説と事実の関係を書き込んでゆきます。
人により研究対象領域が違うと結果の数値にたいして、ある人は「かなり」と感じ、ある人は「あまり・・・してない」と感じます。「かなり改善した」というようなあいまいな表現は論文に使ってはいけません。「**%の改善が見られた」と記載しましょう。
結果と考察を分離して報告書を作るということはなかなか難しいことです。データを見ながら報告書を作成していると、結果の部分を作成していてもつい気づいた部分の考察をしたくなってしまいます。こうした人は次の「考察」と項目をあわせて「結果と考察」という項目にして報告することもよく行われます。
しかし、欧米の人がなぜ結果と考察を厳密に分けようとしたかについては知っておく必要があります。
欧米では優れた技術者や研究者は街の中に銅像が建てられるなど世間的に尊敬されます。根底に国家の強さを生み出してくれる人を尊重し、次に続く人を育ててゆく思想があります。それだけ自分のやったことと他人のやったことをきちんと分けて説明することが求められているのです。
だから、実験結果で明らかになった事実だけを結果の欄でまず報告します。次に考察でははじめにで期待されていた目的が達成できたかとか、一般に言われていることとこの点が違うというような自分の考えと展望について他の研究者が行った過去の報文の結果もまじえながら論陣をはるのです。人の意見を自分のもののように言うことを許す風土はまだ中進国です。
英語では考察はディスカッションです。考察は「他の人の研究結果と自分の得た新しい結果とをつなぎ合わせて、新しい視点や知見はこうである」と自分の意見を説明する欄です。実験した結果で直ちに、論文のはじめに示した仮説が立証されれば結果に書き、「既知の知見や他人の研究結果などもあわせると仮説は立証される」という内容ならば考察に書きます。何も根拠がないのに「自分はこう思う」という内容は論文に書いてはいけません。
同じ結論を肯定する方向でも「立証できた」と「示唆している」とでは断定の仕方が違います。あなたは信じていても、客観的に立証に至らない場合は「示唆している」を使わなければいけません。つかう用語には留意しましょう。
考察は、世界ではじめて得られたあなたの実験結果を入れると、従来とはこんなに違う認識をすべきだという新しい総説を作っている作業です。そして次に、自分の意見ではどんな風に役立つとかどんな分野で生かせるといった将来の展望を入れます。展望を報告内に入れておかないと、「研究のための研究」といわれがちです。わかりやすく夢を書いておきましょう。当然、次回に行われる研究のはじめににはこの考察内容がほぼそのまま入ってきます。
夢だけでなく、気づいた実験を通して明らかになった問題点や、他の課題などを併記しておきます。
考察では、はじめにで示した対立学説との関係を論じます。対立学説に利する結果が出たときは、正直にそう記載しなければいけません。もし自説にこだわると修正の機会がなくなることを知っておかなくてはいけません。このチャンスを外すと、頑固者と言われたり、異端視されて研究者の資質などを疑われる羽目になります。
雑誌によっては、この後に結論という欄を要求するところがあります。要旨とほとんど同じことを箇条書きにする結果になりがちです。たいがいの人は本文を読む前に、要旨と結論を先に読みますから、内容が同じだと大勢の読者はがっかりします。要旨には結果までで明らかになったこと、結論には考察でこういうところまでは言えるということを書くことに決めておけば、うまく分けられます。
結論にはこの研究で何が明らかになったのか、今後の方向性などを書くべきです。短い簡潔な文章で、箇条書きにすると良いでしょう。あなたが他の研究者の論文を読むときに、「あたらしくわかったことは何?」とか「自分が目立てる研究の種がないかなあ」などと思って読んでいるはずです。
用語上の注意として、結論を使ったら、はじめにはつかえず、序論とか緒論を使います。はじめにだとおわりにとかむすびとなります。学位論文なら長文であれこれ議論しますから必ず章ごとに考察の後に結論とか小括とか書くことを要求されます。
一般に、外部発表には、共同執筆者以外の、協力していただいた方への謝辞を簡潔に記載するのが普通です。名前を羅列して、「感謝します」と書く程度ですが必要です。本当に感謝したい多大な支援をしていただいた人には「深謝します」という表現になります。謝辞だけはですます調に切り替わります。
世間の礼儀として投稿前に謝辞に名前を入れることを相手の人の了解を得た上で書くことになっています。またお手伝いをしてくれたという程度では謝辞に名前を入れないのが通例です。別のところでのお礼の仕方を考えましょう。研究のスポンサーがいたら、必ず謝辞に入れます。
企業内では報告に謝辞なんか要らないという反応をすることが多いです。ビジネスの場ではそのようなものは要らないというわけです。素直に受け止めてしまうといけません。原因は次のようなことです。海外発表などをすることになれば突然謝辞を入れろと同じ人たちが言い出します。よくまわりの行動を見ておくことです。
共著者にした上司に感謝するのは止めよう。共著者はその論文を書いている立場だから、自分で自分に感謝するという変なことになります。
最後に番号を付けた文献リストを記載します。
雑誌(学会)によって文献記載の順序やルール(ここに;をつかうとか大文字とか)が細かく決まっています。また名前を間違うと失礼です。文献では英語は訳しません。一般に英文では句読点などのタイプルールがあります。 , . ; : の後ろには、必ず半角スペースを入れます。
いいかげんな文献を論拠にしていると雑誌へ投稿した段階で査読ではじかれやすいです。文献はあなたの論文全体の信用をはかる場所になっています。
文献の記載順序にもルールがあることが多いです。世界スタンダードでは、筆頭著者名のアルファベット順に並べることが要求されます。本文内の文献番号とあわせながら、このアルファベット順に並べるという条件は、かなり煩雑な作業をあなたに要求するでしょう。 新しい知見を世界に認めて貰うには学会とはかくも精緻な配慮をすることを要求しています。ぶつぶつ文句をいうのはわがままというものです。あなたは過去の研究者達がそのように矛盾や間違いを極力排除してきたことで作られてきた科学的知識をベースにして利用させてもらっているのです。あなたにも先輩達のように、いいかげんさを排除した厳しい態度でオリジナリティーある正確な論文を作成することが研究者の姿勢として求められています。
文献の項目記載様式は、発表先によって細かく異なっていますが、記載内容はおおむね次の項目です。
雑誌 著者名:共著者名:発表年度:報文タイトル:雑誌名:巻数:ページ範囲 図書 著者名:共著者名:出版年度:章名:図書名:版数:ページ範囲:出版社名:場所 写真 著作権が設定されていることが普通です。出所を明らかにしておく必要があります
著者名は、著者全員の記載を要求する場合と、「石田等」などの省略を許す場合とがあります。英語では、Ishida H. et al.というet al.をつけた表記になります。またこの例のように、ファーストネームを後ろに書かせる場合があり、その学会の雑誌規定をよく読むことが必要です。
ページの表記で、単数と複数の表記があることも知っておく必要があります。そのページだけの参照なら、p.12 などという表記ですが、章全体を参照する場合には、pp.12-46などと pp. の表記になります。
国会図書館のサイトからは図書の所在検索が出来たり、博士論文の入手サービスを受けたりすることが出来ます。文献欄の作成で図書名の詳細を知りたいときなどに便利ですね。とくに、国会図書館になくても、他の年の図書館にあるような特殊な図書などは、「総合目録ネットワークシステム」で検索することができます。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/opac.html
お勧めの文献管理ソフト
文想(フリーソフト。定番です)
ダウンロードhttp://hp.vector.co.jp/authors/VA005818/消えちゃいました。Sasakiさん、再起を願っています。とても多くの人を救っていたのに・・・。
インターネットは目線が皆さんと一緒であることを優先しますので、ギャル用語を入れようが自由ですが、論文は格調を重んじますので、人に好かれようとか、すごい・・・だとかいう個人の気持ちはできるだけ排除します。事実を淡々と、簡潔な表現で議論するのが原則です。「いろいろな」は「様々な」と表現しろとか作法に近い細かなルールがあります。
書いている途中で上司の顔がちらついて、つい「・・・ですが、・・・である」などと書いてしまうことはよくおこります。
タコ人はまだこのような作法には不慣れですから、このようなことから離れて、まずは文章を完成してしまうことに専念しましょう。表現上のミスならいずれ修整可能です。
である調を「えらそうに・・・」とおもってしまう人が増えています。本を読まずに、漫画やアニメで悪代官がかわいそうな庶民に無理難題を告げるときに、「・・・であ〜る」という場面ばかりしか見ないからそう感じるだけです。である調は常体とよび、決して偉そうにしているのではありません。
上司が「ですます」調へ書き換えを要求するときは、技術報告書が欲しいのではなく、上位の人々へのプレゼンテーションに重きをおいていると考える方が良いでしょう。上司の中には技術報告書とプレゼンテーション資料の区別がつかず、どちらも「技術資料を作れ」と指示する人たちは多いものです。
自分のいいたいことを書かずに、冷静にタイトルから順序良く書いてゆこうとすると、なかなか気分が乗ってこずに、言いたいことの周辺で思考が空回りして結局かけない状態になりがちです。思いついたことをすべて書き込んでゆくと、同じ言いたいことが数回出現しますからそのあたりで言いたいことの呪縛から解き放たれます。
あまり深く考えていなかったなあと実感したときに、次のことを考えなくてはという意志が生まれます。
この段階を通過しないと文章全体の構成を考えようとしても、なかなかまとまりません。取材の報告であろうがその他の文章を書くばあいであろうが、とりあえず思うがままの草稿を作るという行動こそ、文章を書くポイントだと思います。
同時に主語のないものなどを見直したり、説明のダブりやその場にふさわしくない自分の主観的意見や感情的議論を削除することに集中しましょう。削除する前に「なぜ自分はここでこういいたかったか」を振り返ることが新たな気づきにつながります。
英語論文では、段落(パラグラフ)の中では、最初にその段落中の内容を説明する文章からはじめます。日本語表現は結論をさきのばしにしますから、日本人は状況説明から入る文学的表現に変な感じをもちません。日本人も論文では英語論文の順序で作成する人が多いです。日本風に「そもそも・・・」からはじめると、文と文のつなぎにどうしても接続詞が必要となります。英語論文では、接続詞の多用は稚拙とみなされがちです。慣れましょう。
- 用語の定義がしてあるか
- 英語を入れるのなら全部の対象用語に入れているか
- ひらがな・カタカナ・同義語の別表現など文章中の用語統一
- 「である調」の統一
- あなたの美的センスでの統一
- 主語を明確にする
- 主語−述語−目的語の並びと形容詞・副詞の位置等、主張があいまいでなくなる順番で書くこと
- 二つのことを一つの文章で言わないように心がける
- 同じ文章内で色々のケースを並べるのなら、箇条書きに書き換える。
- 接続詞はなぜここにこの文章があるかを示す重要な役割を持つ。たとえば、読み直してみて、文章が羅列だけに感じて論旨が伝わりにくい、と感じたら適切な接続詞を入れる
- 論旨展開がおかしくなればその部分をバッサリ切ることも必要
- 事実を残し、想像の部分を切り落とします。
- ネガティブに響く表現や、蔑視に当たるような表現を修整する。
- 言い訳や、よく思われたいだけの文章は削除する
- 説明なのか、提案なのかなどといった部分をあいまいにしない
ただ謝辞のなかだけは **大学***学教授 **先生と敬称を書きますから覚えていてください。
また会社内だけの文書で社長を呼び捨てにするのを嫌う上司がいれば郷に従って対処したほうがいいかな。
また技術文書に「私は・・・」とは書かない。「筆者は・・・」です。引用したときうっかり文献の著者にたいして「この筆者は・・」と書くと混乱するから「この著者は」と書こう。これは世界の論文の暗黙のルールであり、素養です。
通常、論文は他の人との連名で提出することが多いですから、この意味を配慮しなければいけません。
いくらこの研究は自分が全部やったと心で思っていても、連名で報告書を出せば、「筆者は・・・」という表現をすると、組織内部では嫌がる人も出てきます。「筆者らは・・・」と書くことになっています。あるいは研究室名とか職場名で代表します。挨拶みたいなものですからこだわらずにそうすればよいのです。
このあたりで間違うと、あいつは口では感謝しているといっているが本当は尊敬などしていないなと思われかねません。
本を作るとき、原稿が出来るとゲラが刷り上り、最初のチェック(初校)が行われ、修正の赤をいれて返すと最終のゲラ(二校)が出来て微修正をして本になります。チェックが2回しかできません。後からボロボロ、ミス発見ということになります。
私のやりかたは、いまはホームページ作成ソフトと、メモ帳で文章作成からチェックまでのこれらの作業をしています。原稿に仕上げるのにも、簡単に文章を移動できますし、移動させた結果を最終の見せ方でゲラとしてチェックできます。写真などのついた最終の見せ方で表示されると、自分の表現がおかしいと思うことがひんぱんにおこります。論旨構成を変えることもおこるくらいです。
WORDだけですべての作業をしていても発見できない文字の間違いや配置の違和感などみえ方が変わるとかなり正確に把握できます。何度も何度もゲラのチェックがその場で可能です。とても便利です。
そのような環境作りは面倒だという人なら、論文を書いてしばらく読まずに置いておくという方法があります。時間かかるよね。
松尾ぐみさんのサイトは査読者の判断基準がわかりやすい。
http://ymatsuo.com/matsuogumi_ronbun.htm
文献リストが少ないと、一般にはあまりたいした研究じゃないなと思われがちです。目安として一つの報告書に20くらいの文献はついていたほうがいい。あなたが気づいていないだけで、実際に成果の上がる仕事をしているときには、20くらいの文献には触れているものです。記録する習慣がついていないだけなのです。
研究を続けてあなたが第一人者として認められるようになると、突然総説を作成する仕事が増えてきます。そのときに文献がないと困ってしまいます。パソコンで専門のデータベース企業から文献は取れるさと思っていると意外にあなたのジャンルはなかったりするものです。それにいつまでも組織の中のお金を使って文献を入手できる立場でもなくなります。普段から自分がやった仕事に関する文献は、自分用のデータベースとして長期にわたって一括して管理しておくべきです。
ファイリングシステムなどを先に勉強すると、「文書は個人で持たず共通の場所に保管すべきだ」と教えます。これなどは完全に会社側の利害だけでしか考えられていません。真に受けるとあなたには何も残りません。あなたのキャリアアップは自分で管理し、守る必要があるのです。
総説(review)。
英語の意味どおり、再び見渡すという意味です。総説は他の人に「世の中の実際はこうですよ」と説明するものですから、書かれる順序などは比較的自由です。それでも、序論、本論、結論の順序を意識した総説にしておいたほうが読むほうにとって理解しやすいです。新規性あふれる良い展望(または仮説)が出せるかどうかがキモです。総説はただ世間の情報を並べる作業ではなく、その情報の中からあなた独自の理論的考察を加えることで輝きを増します。
また、ここで示している手順は自分の本のコンテンツを作る手順とほぼ同じです。
文献を見て自分の意見を書き込むメモは順番を簡単に入れ替えられる媒体を選ぶべきです。それもカードならカード、WORDならWORDで統一していないと作業がシステマティックに進まず、時間が極端にかかるようになります。カードの並べ替えやコピー&ペーストで並べ替える作業は至福のときです。自分にとって新しい展望がクリアーにみえてくるときです。
コピーした文献を並べ替える方法では、ものすごい長い机と大部屋が必要になります。狭い机上でやると、文献整理の作業に忙殺されて思考が途切れます。
全体が見渡せる内容構成が出来たということは、総説を書き込んでいるときに考えが変わって違うグループに入れなおしたいときに威力を発揮します。この部分の構成を変えたら全体で修正しなければいけない場所はこことここというように、内容全体の修正がミスなく行えます。
古代エジプトで再生を願う輪廻思想があったのに、自分の墓があばかれるかもしれないリスクを犯してまで、中王国時代の人々はなぜ古王国時代の人びとの墓の石材を流用して自分の墓を作ったか?問題領域がはっきりする効果とともに、「めざせ!東大」などのような効果も期待できます。総説のタイトルを決めるのは完成した後に行えばよいことです。
http://www.ipdl.inpit.go.jp/Tokujitu/tokujitu.htm
前者は、講演等で話す内容をまとめるときにおこなわれます。テレビやマスメディアで活躍したい人はこちらで充分でしょう。 後者は、研究や工場建設など実際の業務遂行にいたるときに行われます。本当に世の中に価値あるものを生み出したい人々は、後者のように、2回の情報収集を行います。
私は、総説だけ作ってマスコミにもてはやされている教授より、ひとつのことを実現した教授のほうを尊敬しています。今の日本は多くの知識を耳障りよく説明できるソムリエみたいな教授がもてはやされています。ソムリエになる目的での総説作りは集中してやれば一ヶ月、教授の威信をかけても1年程度でできてしまいます。しかし世の中にそれまでなかったひとつのことを実現するには着手から3年ほど試行錯誤しなければできません。それほど多くの実施上での細かい課題をクリアする必要が多い場合が普通です。しかも多くの人を共感させ協力してもらわなければ、自分ひとりでは道具ひとつできない場合が多いのです。
細かい課題とは(予算取得、測定系の立ち上げ、測定器具の製作、実験プラントの設計と製作、試運転、失敗時の設計修整、測定実施、解析系の立ち上げと習得、共同研究者への研修、研究論文の作成と学会発表、取材への対応などなど)をいいます。ソムリエ教授はここのところは他人にやらせて、自分は他人の研究結果の美味しい部分だけ集めているわけです。
最近ではだいぶ様子が変わってきましたが、敗戦後に建国してきた日本の国はアメリカのノウハウを英語の本や事業提携から学んだり、今の中国のように模倣することに熱心でした。多くの商品開発するのに、すでにあるものの模倣で生きてきたのです。英語の本が読解できて、周りに指示できれば自分がそのことをやったことがなくても出世できていた時代です。ですから日本の国では指示されて何とか工夫して実現してきた職人さんたちをあまり優遇してきませんでした。
早く産業革命を果たした欧米の人は新しいことを成し遂げた人を、技術者であろうが、職人であろうが尊敬する文化をもっています。皆さんが住みよい国にしたいのなら、口先だけの人より何かを実現してゆく人を尊敬するようにしたほうが良いと思います。尊敬されているエジソンは学者ではなかったのですよ。日本人の中にはエジソン並の仕事をした人はいますが、エジソン並に尊敬された人はいません。
調査報告を各役割になったあなたの立場を考えてみましょう。 何よりもあなたに調査を依頼した組織の要請があるはずです。それは新規の工場立地だったり、排水処理場の建設だったり、商店街の再活性化であったりさまざまなものがあるはずです。依頼した組織は、自分達の打つ次の一手が何かを知りたい動機が有ります。その動機も様々なレベルがあるでしょう。
この状況ではすぐに建設の設計に入ったり、デザインに入る状況です。ですから、調査は、設計作業の骨格を決定できるほどに緻密なものが求められます。あなたはすべてのことについて知っているわけではありません。協力してくれる建設会社などを早めに決めてもらうことが全体の流れをスムーズにします。しかしあなたがすべてを建設会社なり技術者にたいして丸投げして良いということではありません。
NPOの事業で現地にポンプだけ設置するというような調査もあるでしょう。法制度や現地の人々からの了解の得かたなど文化的な部分が支配するかもしれません。したがって調査報告書とは、ここで示す項目だけでなく、実際に実行する場合に考慮しておくべき内容を網羅している必要があります。
また、小規模であれば自分で資材発注から輸送の確認、設置まで行うことも考えられます。報告する必要がない代わりに、自分で漏れがないようにチェックリストのメモを作る必要はでるはずです。出資者など他人に説明するにも、調査項目をリストすることは有用でしょう。漏れの少ない説明なら相手も安心してくれます。
一人でできなければ初めから技術者を準備してもらいましょう。機械に明るい人と、製造内容に明るい人が必要です。あなたが不十分な現地調査をした結果で事情がわからない技術者に仕事を丸投げすれば、いいかげんで安全側に大きく予算をかけた過大な計画になります。予算を出さなければ出さないで、うまく動かない設備ができて、後で修整予算を大幅にかけるような計画になってしまいます。ほんらいは、これは依頼する経営の者の人選の問題ではあるのですが。
報告には次のような目的を達成できる調査が求められます。
経営の4Mといわれる人・設備・原材料・製造方法への予算配分見通しが必要です。
すなわちあなたが調査先で得てこなければならない情報のまず筆頭が4Mです。たとえば人を調査するにしても、会社全体の人数を調査していても不足です。相手先の組織のあり方や思想、担当ごとの人員構成と、なぜそのように配分することになったか、現状での問題点などを知る必要があります。
工場建設のためには、建設の組織と、建設後の組織とは別物であることが普通です。建設の組織には多くの製造系と工学系の技術者と人事関係者が協働で活動することが多くなります。建設後にもこの組織は立ち上げの間オーバーラップすることが普通です。
建設中の組織を手厚く人材手当てしておく方が、建設後の効率的な組織を生み出すには有利ですし、利益も上がるようになるでしょう。調査には建設後の組織のことについて触れておかなければなりません。
特に、新工場ならば、競合他社に打ち勝つためにその後10年間は世界の製造方法の最も優れたものを選択している必要があります。指示された方法のみならず、調査段階であきらかになったもっと進んだ方法についても言及しておく必要があります。
設備についても、I ラインと U ラインとではスペースや搬送の方式が異なります。I ラインというのは原料の入り口と製品の出口が反対側になる直線的な設備配列、Uラインというのは、原料の入り口と製品の出口が同じ側にある設備配列のことを言います。輸送ブースが2つになるかひとつになるかの違いが生じますから設備費用は大きく異なります。しかし搬入搬出で込み合ってトラックに待ちが生じたりすることを配慮しなければなりません。
原材料ではユーティリティの確保も調査されなければなりません。水・電気・排水・石油などの確保と地域の諸規制や利権もかかわってきます。どんなに条件が良くても、地域の漁業権者の反対があって建設が数年遅れになれば、その立地先に行く理由がなくなることもあります。
最初に購入すべき原材料の量と半製品の産出数や量とスペース、プロダクトミックスの設定量、保管日数、ハンドリング時間、輸送エリアと倉庫配備数などを設定します。これらは、少なくとも3つほどの案を策定することになるでしょう。
必要資材の計算が求められます。タンク数や加工機械数、配管の総延長距離、バルブ数、計装や電気工事の予想など予算に響く諸元をリストにしなければいけません。
必要な電力、用水、排水、排出ガスなどを把握しておかなければなりませんし、環境維持のための設備も調査しておかなければなりません。
立地場所で建設費は大きく異なります。
最新鋭のやり方が導入される理由は経済的合理性の説明が必要です。その基礎になるマスバランスおよび、実行案を提示して、細かい工程ごとの得失表を作成します。できれば、予算として円換算した数値で表示すれば案の決定は早いでしょう。経営層は、必ずあなたと異なる視点を持っています。ですから、経営層が気にしている悪い部分の考察がきちんとなされている方が安心してもらえます。
達成の納期から逆算して、役所からの許認可手続きの期間、資材の調達の目途、要員配備の段取りと従業員の生活条件の準備、人事手続きの期間、協力会社の選定と工事可能な期間など「これならできる」という工程表を作り上げる必要があります。すべての緻密な工程表は、要員配備された人々が再度作り上げてゆきますから、大枠の工程表ができればよいのです。
これを作らなければ、あなたが工事責任者にされた場合には、すべての作業調整をあなたが責任をもって指示してゆくことを受け入れたことになります。普通はそんなスーパーマンはいませんからあなたは体調を崩すことになるでしょう。他人を工事責任者にした場合には、まかされた方との不必要な大きな会社内の軋轢を生むでしょう。
経営者はプロデュース能力のない人物を責任者に選んではいけません。その見極めは、調査段階で、合理的なマイルストーンを提示できるかどうかで判断すればいいのです。段取りの展望を描けない責任者に任せるということは、現場が右往左往するということですね。予期しない人身事故の発生も増えてしまいます。
報告は経営者用の要約版(SPM)と実行者レベルの本編(TR)とに分けて報告します。SPMには利害と社外へのインパクトの部分を中心に、大枠の工事単位ごとに分けた予算と総計の予算を添付します。
TRには予算実行する人たちの疑問に応える諸元が基本的思想とともに入れ込まれます。この「なぜか」が入っていないと、多くの担当者は自分の好きな夢を抱いて利害とは関係のない「俺の工場はこうだ」といった世界で実行予算を組んでしまいます。また担当ごとに使用できる予算枠と納期が与えられていることが必要です。
予算枠は実行部隊と一番もめる部分です。現地担当は設備稼働の責任を負わされますから、安全な案を提示してきます。それにたいしてあなたがつき返せるかどうかは、あなたがその予算をどれくらい理解しているかによって変わります。新しいことをやれというならそれなりに自分がやらされても実行できるという線の予算でなければなりません。
社会の情勢を正確に把握し、社長方針に添った、何年か後の会社の理想像を描き、その過程を示すのが趣旨です。どれくらいの規模の投資をすべきかは記載しても、この数値でなければいけないなどという長期計画を作ってしまうのは越権行為になります。
会社が進む方向への理論武装のための調査と思えばよろしい。
会社としての志と、多くの従業員や株主を養ってゆく責任を知ったうえで本来の長期計画は作られるものであるべきです。進むべき分野と、企業としての製品化への準備の予算化が長期計画には盛りこまれている必要があります。すなわち研究への予算化と人員配分、求められる判断の納期などが調査対象となります。
進むべき分野への提言とマイルストーンが中心の報告になります。どの分野に研究を集中して、いつまでに製造実験をして、いつまでに販売するという流れです。こうした納期の判断には、需要の伸びや他社の動きの判断などが調査に求められます。人員配分を新規採用にすべき、既存人員でがんばるかなど助言してゆきます。投資先の配分の変更方向の助言と、5年後にはこのように安定した利益体質の会社になっている方がこういう意味でいいよというような案です。あなたが行う提言には、「なぜこうでなければならないか」を調査から得た根拠で示す必要があります。こうした背景説明のない提言ばかりでは、全体の調査の真実性が疑われてしまいます。
予算配分は、合理的な根拠からというよりも、トップまたはその下の有力者の腹積もりというケースが多い。こうした人々の意向を知ることが必要です。会社のためとだけ考えて動くとあなたが冷や飯を食う結果になりがちです。
もし、調査結果が経営層の一部だけに開示される性質のものなら、新規事業に向かう方向と、既存事業に撤退の方向を同時に提言すべきです。そうでないと、役に立たない担当部門を数多く抱えてしまい、数を頼んで声ばかりが大きい集団が社内に派閥として存在することになります。こうした集団は既存の許認可権限は渡そうとしませんから、企業全体では、あることを実施しようとしても、同じ内容を二つ以上の部門間で調整しなくてはならなくなります。業務の硬直化は、こまめな業務縮小を怠った結果生じてしまうものです。
調査報告段階で、部門縮小を公言するのは経営層との作戦を充分にした後でなければやってはいけません。通常はやらないのがふつうです。秘密裏の報告であってもこうした提言は必ずどこかから漏れますので、社内のバッシング覚悟で行ってください。経営者が大企業病を嫌って、一従業員にこうした既存事業縮小案を書かせたいのなら、調査前に、会社のルールとして、新規分野進出の提言には縮小案を併記しなければならないというルールを公的に決定しておくことが求められます。これができるのは社長だけです。
決定者の意向がない「全面的にお任せ」の場合なら、日常、売り込みに来るセールスの持ち込む資料を整理して分類しておけばすぐにできるはずです。セールスに聞いておくべきことは、現状での価格と納期を確認しておきましょう。
能力のない企画部門の人々がよくやる手は、社内の技術者に、アンケートをとる方法です。悪い方法ではありません。多くの人々に意見を求めることは良いことです。しかし、200字程度の表現で新規の方法の良さを知りえることはできません。自分の大事に思えない方法でも、提案者に電話を入れて聞くとか、会って話を聞く程度の努力がない人々の企画案は、とおりいっぺんの提案しかできません。すでにあちこちの講習会や新聞・雑誌でウエート付けされた順番でしか企画できません。
本来の企画マンなら、長期計画に試験設備予算を入れるはずです。本来の企画マンでない人たちは、アンケート結果に◎、〇、△、×を表に入れ込むだけで作業を終わるでしょう。
今ではインターネットで、テクニカルターム(専門用語)を入れると、様々な省庁のこうした表に出くわします。最後の報告のモデルとしては表現も含めてとても優秀です。
長期計画を策定するには社内から情報を得るのではなく、社会の情報を収集してきちんと独自の総説を作ることが求められます。この作業こそ、長期計画のための調査です。
もちろんその結果、自社の新技術は世界に名だたるものだとなるかもしれません。本来の長期計画は社内数値だけや社内アンケートなどで作るものではありません。
企画の仕事とは、社内の予算配分を決定したり、プロジェクトメンバーの人事を決めたりするようなことは本来の目的ではありません。むしろこうした権限がないほうが、企画マンは自分がキャリアをつむために本来の企画に専念するでしょう。本来の企画とは、会社として参入すべき新規分野の設定および、規律ある撤退縮小の方法決定などです。
企画マンが本来の案を作って初めて経営層が企画マンに予算を与えてやることが必要です。配分原案は既存の経理部門が作ればよいのです。逆に、予算配分の是非の判断を経理部門に任せてはいけません。今度は経理が社内官僚化するだけです。経理部門が行うのはあくまでも適正に予算が使用されたかどうかの審判です。新規分野の参入や、撤退部門の判断まで部下に任せようとする経営者は、職務放棄しているわけですから、退陣なさるがよろしい。大企業病は、漫然とした予算決定権と人事権を企画担当に与えることから始まります。
2チャンネルで相手を厨房(中学生並)とこき下ろす人たちがいます。早く気づいて大人にならなければ、彼らに輝く未来はないはずです。そういう人々は周囲からの尊敬を得られないし、何よりも他人を悪く言う人にはあなた自身そばに寄りたくないでしょ?
君の後輩に頭のいい仕事のできるやつがいて、君のことや周囲のことに何かと批判的なときに、君はその後輩を次のキャプテンとして推薦するかな?輝く未来が得たければ、周囲の人に慕われるように、尊敬されるように行動している普段の生活態度が必要条件です。日本では君がノーベル賞級の仕事をしようとノーベル賞を貰わない限り、何もしていないが周囲ににこやかな人のほうを次のリーダー候補としてプリンスに選ぶのです。頭のよさは十分条件でしかありません。人をからかったり、馬鹿にすれば、その相手と仲間に永遠に記憶され、その分輝く未来を削っていることになります。社内で人格に×のレッテルが貼られたら輝く未来はなくなったと考えることです。
知っていることをひけらかしたくなる自分の心に早く気づきなさい。グチをいってはいけません。グチを言える相手は、親友一人に決めるか嫁さんかダンナだけにしときなさい。グチは必ず不満として人事担当者に告げ口されます。あなたが気づいた社会の不正や社会の課題は会社内でなくインターネットで一般論としてブログで発表すれば気が晴れるでしょう。そのほうが国を動かす力になります。
君には何かの才能があるはずです。それを他人を馬鹿にするために使わず、他人の役に立つために使いなさい。頼りにされる人になればよいのです。何でも引き受ける人になれといっているのではありません。それは便利屋として利用されているだけになってしまいます。本人に自分で解決できる力があるにもかかわらず利用する目的でよってくる人の役に立つ必要はありません。本人の能力で、それができないで困っている人から頼りにされたときに役立てばよいのです。
ここは、まだ技術報告書の書き方を知らない人を対象にしていますから、学位審査する先生方のサイトで学んで下さいね。
学位論文は、自分の数年間の研究を集大成するものですから、一つの論文のときと違って章立てが基本になります。一つの章の論旨展開だけでなく論文全体の論旨展開、記載順序なども問題にされます。 学位を授与するには、論文の研究の質はもちろんのこと、論旨展開の順序、日本語の使い方、冗長な言い回し、不要な文章、用語の統一、外来語の書き方、点の使い方などなど細部にわたって多くの注意点があります。
普段の論文で鍛えていないと、いきなり大冊の学位論文作成では、ミスなど防ぎようがありません。
ビジネスの場の報告書は千差万別です。思いつくだけでも下表のようなことがあります。
経営の現状分析 | 財務諸表、採算分析、商圏解析、販売予測、部門間協力管理 |
経営戦略立案 | 利益計画、設備計画、経営計画、コストダウン、プロダクトミックス、生産と販売目標設定 |
情報統制 | 情報セキュリティ計画、情報統合・データベース管理計画、管理部門要員予測、データベースミックス策定 |
マーケティング | 製品開発計画、チャネル開発、マーケティングミックス、宣伝効果把握 |
新規分野への研究 | 業態研究、新規分野センサス、研究開発基本計画、研究費使用計画、特許資産管理、研究員考課計画、経営寄与度判定、共同研究計画、研究員採用計画 |
広報戦略 | 苦情把握、地域別広報管理、メディア対策、資金運用効果把握、イベント管理、スポンサーシップ計画、社内広報管理、世情変化追随 |
人事計画 | 人事考課制度、組織改善、労働生産性把握、要員計画 |
製造計画 | 設備投資計画、建築・機械・電気・情報など設計方針、その具体案、製品製造立ち上げ管理、要員配置計画、製品試験計画と品質管理、環境保全管理、安全管理、コンプライアンス管理、技術研修育成計画 |
製造管理と改善 | クレーム管理、直行率・欠点・不具合管理、傷病管理、要員モチベーション管理、改善案作成と実施、QCサークル活動管理、改善提案管理、製造実績報告、監督省庁への報告 |
物流計画 | 物流設備投資計画、需要予測と拠点展開計画、運搬チャネル開発、倉庫管理計画、在庫把握、流通コスト把握と改善、品質管理、要員計画 |
この全領域に渡って一概にどういう共通の報告形式がいいとはいえません。
しかし、業務単位になると、一定のパターンに従った報告の作り方があります。それらの報告フォームは企業の文化です。
企業はビジネス環境変化の中で浮かんでいるだけですから、変化に対応できなければ沈んでしまいます。常に自組織内の体調変化を定量的にとらえ、組織として取り組む目標を設定して実行してゆかなければなりません。ですから日常の管理状態を維持する領域内では共通のパターンがあります。
たとえ部門の技術報告書であっても企業内の報告様式には文化があり、一定ではない。最近増加している様式は、公的な学会用の技術報告書の様式とは離れて、次のような順序に書かれることが増えている。決裁権限者の頭の中の判断手順にあわせるやりかたとなっている。決済のスピード化と処理件数を増やす工夫でもある。内容がわかりやすいほうが、反対勢力になる人々の数を少なくできる。
やり方が違うように見えても、SPMとTPの順序にするという考え方は同じ。
戦略ターゲット、品質・原価・安全などの優先度の思想、検討した案の数、期待される効果、予想できない事故対応への配慮、経営の4M配分案、戦術の考え方、新しいメソッドのインパクトなど。
あなたに能力があっても、要求されない限り、あなたの立場より越権した具体化提案までは踏み込まない。書きたければ大きな抽象的な範囲にする。
企業内官僚グループは、通常こうした集計の会社全体のシステム導入には表向き賛成しても、実質的に「反対」の行動をとる。集計作業を握ることが予算と人事をにぎることだから。
社長秘書がパソコンからそれまで企画部門が集計してきた内容のデータを取り出すと、起案権限が社長秘書または社長に移動してしまうからだ。それは権力の凋落を意味する。したがってデータベースの電子化に対して企業内秘密だとか、アクセス権のなんのと一般の社員が立ち入ることを禁じる。
もし、社内のフォルダーにあなたが望むような、先輩の事例にアクセスできないなら、MS Word や MS Powerpointのテンプレートをのぞいてみよう。文書作成の項目がテーマ別に例示してあるから、すべて自分で考えるよりは楽に今後のやることのイメージをつかむことができる。 たとえば、MS Powerpoint で 「問題点の報告」 を見れば次のようなテンプレートを見出せるだろう。後はあなたのケースに合わせた内容に項目用語を置き換えて文章を入れてゆけばよい。このとおりにするよりは、項目も含めて自らの工夫も入れて付け加えたほうが良い。
現状報告 問題の説明 (何が問題になっているかを明確にする) 問題の背景 問題が発生した経緯、問題にまつわる事実 (問題の発生により変化してしまった前提条件を列挙する) 代替案 具体的な代替案の複数提示 各代替案の長所と短所 代替案の決定 代替案による問題解決を討議 対応策による問題解決への道筋について検討 実行に伴う困難への対処について討議 将来への展望 最終目標の再確認 将来への見通し 目標達成へのタイムテーブル 結 論 (関係者に自信とやる気を喚起する方向にまとめることが重要)
社会人ほやほや(5年ではまだこの部類)のあなたならまず過去の報告フォームを尊重しましょう。どこかの本を読んで、そこのフォームに感動したから俺のやり方でフォームを変えるぞという威勢のよいやりかたは当人は満足でしょうが、周囲の人々に多大な迷惑をかけることがあります。次のような理由によります。
先輩の事例が入手できずに、報告フォームを自分で作る必要があるときには 2元表で表現しよう。2元表とは、表頭と表側とにチェックすべき項目があらかじめ入れてある記入フォームです。
たとえば、立ち入り検査したときの工事進捗報告書を考えて見ましょう。 工事報告書を上司に書くように指示されたとして、あなたが考えるべきことはどのようにそれが使われるのかということを意識しなければいけません。
言葉だけで考えれば、工事の進捗を報告すればよいとしか考えません。そうすると下請けの人に「うまくいってる?」と聞いて、「安心してください」というやり取りで報告は「予定通りに進んでいる」程度の雑なものになってしまいます。この程度の報告では、トップ陣は間違いなくあなたの上司を叱るでしょうし、上司のほうも「これじゃ上に報告できないだろうが!!」と怒ってしまうでしょう。それはあなたが「ダメな奴」と烙印を押される瞬間なのです。上司はあなたの報告書でさらにその上に報告をします。そのときに、会社トップが質問するだろう事項が調査され、報告されているという安心をあたえなければなりません。すなわち、報告書を持って報告に行く上司がトップとやり取りする姿をイメージし、予測される質問をイメージすることが必要です。
「工事は予定通りすすんでいるのか?」
「現地での設計変更はないのか?」
「下請けに姉歯のような手抜きはないだろうな」
「捨てコンするまえにくいの状況を見ておけよ」
「搬入された接合資材は仕様どおりのものが入っているのだろうな」
「内装が始まる前に見るものはみておけよ」トップの言うことを全部パーフェクトにイメージできないのはあたりまえだから自分のできる範囲でよいです。
さて2元表の出番です。 表頭にはこうしたチェックすべき項目を羅列します。 たとえば、ある工事について、持参すべき図面や進捗予定表名称、遅れの有無、設計変更の有無、配筋状況写真番号、鉄筋の直径、仕様どおりの製品かなどこうしたトップが心配しそうなことを並べます。
さらにあなたが技術的に見ておくべきと判断する項目を並べます。最後に必ず現場の意見や気づいたこと、報告しておくべきことを文章で記載するその他の欄を入れます。表側には工事名称毎の記入枠を作ります。表頭のチェック項目に入れやすい程度に詳しい工事名称にしないと記入しにくくなります。 あと、工事名称ごとにチェックすべき日時、持参する道具(スケール、ノギス、カメラ、図面など)を記入しておけば完璧でしょう。
もし、あなたが工事内容にど素人で何もさっぱりわからないところでこうした立会い検査をすることになったのなら、まず工事の方法から、取引内容、自分のすることの仕事上の意味などを、上司に聞いたり、先輩に聞いたり、学術書で勉強したりすることからやらなければなりません。放置すれば「ダメな奴」との烙印が待っているだけです。さらに今の時代は、インターネットで同業者の報告テンプレートが行き交っているのが普通ですから、しつこくインターネットでめぼしいものを調べてまわるということは必須の行動です。
ここであなたが現地にそのまま行くと抜けが生じます。 あなたは作成した2元表の内容を上司に持っていってこれでよいか相談する必要があります。これはあなたが不利な立場にならない保険でもあります。
初めての報告フォームをつくり、それをもとに報告をした場合に、報告書提出時に、「要約をつくりますか?」と聞こう。
そうすることで、自分のつくった報告書がどのような場でどのように使われるか聞くことができます。さらに上司がトップにたいしてどのような動きをするかを知ることができます。
「作ってくれ」といわれたら、自分の作成イメージを上司に相談しておこう。
この2元表は、コンピューターで記録保存してゆく場合のデータベースの基本になります。 しかし、日常の現場からの報告シートなどでは、この2元表のままでは、記入しにくい感じがします。書きにくいだけでなく、イラストなどを入れなければならないときには無駄なスペースが出来るため広い紙が必要になってしまうこともしばしばです。
こんなとき、2元表から現場担当者が記入しやすい紙面へと変更しましょう。 たとえば不具合報告書などであれば、次のような内容をA4の紙面へ記入文字数などを考えながらレイアウトします。
記入日時。不具合内容タイトル。発生日時。発生の状況(時刻・機械・オペレーター氏名・発生数・イラストなど)。処置内容(別山範囲・根拠・検査方法・発生数・報告手段とルートなど)。恒久処置の予定または実施策報告。その他類似事故防止へのヒヤリハット提案。上司の指示内容欄。承認印欄など等。現場に提案する前に自分でいくつかの過去の発生不具合例について記入できるかどうかシミュレーションしてみることはその後の職場間での混乱と反発を防止するためには必須です。用紙の端に報告ルートを記載しておけば、事務が混乱しません。
長く手作業による事務を続けてきた事務所が、コンピューターネットワークを利用したデータベース構築をする場合のことを考えてみましょう。逆の手順で作業が進みます。
事務作業をする人たちは、たいがい自分の仕事がなくなったり変更されたりすることに不安を感じ、表面は賛成していても、自分の報告内容を説明する段階で抵抗を示すのが普通です。日常、職場で談笑し会っていた人々がなぜ、とおもうこともしばしばです。入社してすぐの女子社員ですらこうした行動をとるものです。こうした活動は、対象となる職場の上司の上司くらいが「協力せよ」と指示しなければまずうまくいきません。ひらの立場で、このような仕事をやらされようとするときには、社長からみんなの前で「協力するように」とクギをさしてもらっておく必要があります。
中企業以上のスケールで行うときは、専務取締役程度が対策本部長として動いてやっと企業内が動く程度です。外部の事務改革専門企業を介してコントロールするやり方のほうがすんなり動くでしょう。「プログラムが出来るからお前やれ」といわれてその気になって簡単に引き受ければひどい目に会いますよ。
ではクレーム処理などの苦情報告などを考えてみましょう。
あなたが書こうとしている報告書が企業外部の人たちを対象にしたものならば、上司と充分に相談して何度も書き直すことが必要でしょう。「うそはついてはいけないが余計な言質を取られて窮地に陥ることだけは避けたい」というのが経営陣の本音ですから。この場合には経営陣の性格で報告書記載内容は大きく変わってしまいます。みんな気がたっていますから、あなたは「あほ」と言われながらも何度も素早く作り直すのがベスト。表現はやわらかくしておきましょう。当然「ですます調」になりますね。「こんなことを外部に発表する奴がいるか、ばか」と言われながらも、報告すべき内容を上司に削らせることのほうが、外部で問題化したときあなたの立場はそれほど悪くなりません。決して、上司の立場を察しすぎて反社会的な文面を報告することはありません。問題になったとき経営者は「あれは担当者がやったこと」としか言いません。
日常、こういうことは、相手が後輩であろうとあなたの考え方として、けっして職場で発言してはいけません。「社長(または支店長など)をお守りすることが私達の仕事」という発言ならかまいませんが・・・。あなたが守るのはその製品を利用する一般の人々であり、あなたの企業であって、責任をとらない経営者ではないのですから。
最後に注意ね。
いかに、立派な2元表ができたとしても、納期が遅ければ無意味になります。会社内の業務の流れのスピードで動いた仕事のほうが、完璧な出来の納期遅れの仕事より何百倍も評価されます。あなたの頭脳が優れているかどうかということより、企業での評価は、会社の役にたったかどうかで評価されます。
企業には文化があります。業務報告書は業種やその文化に応じて変化します。私のサイトを一瞬みただけで、もういいやと思う人がかなりいるのではないでしょうか。それはなぜか?世の中の人のかなりの数が、自分の知りたいキーワードがなければ文章の中に入っていけないからです。
多くの人は自分の役に立つことしか興味がない。
まず読んでもらえる文書を作りましょう。
単純に言えば、子供用の絵本ならば一瞬で全体が見渡せますから、文章も読んでくれます。私のサイトのように文字だけで黒々と書き込みをしているものに興味を示す人は、本当に困っている人だと思います。本を買ってでも勉強しなければならない人には黒々とした書き込みでも食いついてくれます。
一般に会社の上司の位が上がれば上がるほど、こうした勉強の根性は消えてゆくものなのです。上になるほどわがままです。見ただけでだいたいの言っていることがわかることを求めます。
「社長は忙しいんだ」という表現は正確ではありません。社長はいらいらするほど多数の決済案件を抱えていますから、わかりにくい表現にはキレてしまうのです。たくさん書いても添付資料を全部読む人はまれでしょう。決裁権限者には詳細に書くより、最初の数行でOKを出して後々問題がないかの判断ができる文面になっている必要があります。決裁権限者が巨大な問題だと感じたときには黒々とした文面にも目をとおします。
すなわち子供用絵本の技術が有効になってきます。
いっぽう中間管理職は、偉くなりたい意欲のある人ばかり。結果として彼らは社長のキーワードには過敏に反応します。「(社長がおっしゃっていたキーワード)****を実現するために、我々の今後の方針はこうでなければならない」というためです。社長が言っている内容と多少違ったってたいした問題ではありません。彼が行う演説は仕事が円滑に進むことより「私はこんなに社長のおっしゃることを一生懸命忠実に遂行しています」というメッセージに重点がおかれていることに注目すべきです。決して悪いことではなく、会社の求心力として、とりあえず社長方針の方向を考えようという動機になっています。
ためしに上司が日常口にするキーワードをメモしてごらんなさい。10以上あればましな上司です。
あなたが業務報告書の作成者なら通常はヒラでしょう。ならばあなたはコピーライターの能力を磨くことも大事です。報告のタイトルと始めの3行のなかに次のような配慮をしておきましょう。
「浮ついた絵本レベルで会社の判断をしろというのか」という、もっともなことを求める社長もいます。あなたがセクションの定常業務での報告をしているのか、それとも会社の命運を握る企画をしているのかで、この部分は変わってしまいます。 ビジネスの文書というあいまいな用語で考えずに、会社にとっての全員で対処することになるのか、あなただけで対処できるかで、かなり報告の簡潔度は変わってきます。
どっちにするか心配な人もいるでしょうから、そのような人はこうしなさい。
詳細な報告書をつくりなさい。その上に要約として簡潔な報告をのせなさい。・・・・ ただ、自分が完ぺき主義だと見られているかもしれないことに気づくことも必要です。なぜ自分は詳細な報告にこだわるのだろうかと自問することも良いことです。上司はあなたが詳細な報告を作っている間にたのみたい他の仕事があるかもしれません。これらのことは仕事の重要度でかわります。
中間管理職が「徹底する」という言葉を使う場合、職場のミーティングで号令をかけるだけの行動しかとっていないときには、並上司です。上司ではなく並司ですな。徹底する上司は、マンツーマンで相手が動くまでしつこく粘る行動にでます。あなた方にとって並司のほうが優しい良い上司でしょ?本当はあなたのためになる行動をしているしつこい上司を、職場全体でシカトしていないかな。上司に口先の優しさを求めている行動は自分の足元を掘っているだけだぞ。
プレゼンテーションは、技術報告というよりエンターテインメント技術のひとつと考えた方がよい。
信頼を獲得し、顧客に「なるほどこれならできそうだ」と感じさせる目的で行うショーです。しかし顧客にショーと感じさせない領域で勝負します。
ですから、採算性や、精密な調査結果、試験結果など提示されますが、それは「これくらいきちんと検討してますよ」というアピールの材料と考えた方がよい。
検討した人は自分が一番苦労した部分の説明をしたくなります。しかし聞くほうの立場は、Goサインを出したときに自分が不利な立場になるか、それとも新しいことを勇気をもってやる素晴らしい人物として賞賛されるかのイメージ作りをしていますから、その場の空気で試験結果を中心にした説明になるか、それとも提案がもたらす夢の説明中心になるかが決まります。参加者の知的レベルや、経験の有無で安心のために要求される内容が変わります。
プレゼンテーションを「パワーポイントでスライドを使って説明する行為」と理解しているあなたは並みの仕事しか出来ないでしょう。プレゼンテーション中に非日常世界を演出し、顧客に心を開いてもらって、理解を超えた納得にまで導くのがプレゼンテーションです。
最も影響があるのは提案者の雰囲気です。
行動心理学の知識があると正確に理解していただけるとおもいますが、提案者が自由な子供(FC)や依存的な子供(AC)、厳格な父親(CP)などの気分が強い人には、顧客が自分をたくす気分にはなりません。面倒見がよく(NP)大人である(A)心の位置でプレゼンテーションできることが大切です。
何度も訪問する営業マンや、テレビのバラエティ番組でしたら、自由な子供(FC)を全面に押し出すこともいいのですが、短時間勝負のプレゼンテーションでは、自らが信頼できる相手であることを第一に考えます。
それでも相手を納得させる一般的に共通なルールがあります。納得の得られやすい順番で示すと次のようになります。この順序は言葉どおりで解釈してはいけません。理解しやすいイラストの方がわけのわからない写真よりはずっとましです。
営業の人がバスをしつらえて現場に連れて行って説明していますが、あれが一番有効なプレゼンテーションです。決定権限者を現場に連れてゆければの話です。
プレゼンテーションは、予算決定権限のある人々(あるいはそういう人に影響力を持つ人々)に対して、自分達の提案をするために行います。あるいは、多くの人々を共感させて共同の行動をとってもらうために行います。
プレゼンテーション目的は、知識を披露することではなく、こちらの提案に対して相手が納得し、共感してくれることを目的としています。
電通や、博報堂などの企画会社のプレゼンテーションは、動画あり、役者のような身振り手振りの掛け合いあり、利益がどれくらいあるかすぐわかるグラフあり、うすいプラスチックボードに綺麗にカットした文字を準備したものありの小道具の他に、演劇と同じくシナリオが作られ、何度も上司の前で練習し、抑揚や間のおき方、目線なども充分準備して行われます。すなわち相手の感情部分の配慮がかなりウエートを持ちます。
客先のトップが聞いてくれるのは高々15分以内。長ければ居てはくれますが聞いてはくれないでしょう。長い理屈だけのプレゼンテーションでは納得など得られません。
プレゼンテーションは相手の会社に入るときから始まっています。なぜならあなた方グループが最初に与える「信用できるか」、あるいは「信頼できるか」の印象が最後まで後を引き、納得してくれるかしてくれないかの差につながることが多いからです。
正直であること、誠実であること、相手を尊敬していること、明るい性格に見えることなどが必要です。服装、入室の態度、礼の仕方、着席後の身内の雑談の仕方などすべて見られています。これらがクリアされて初めて、あなたが作ったプレゼンテーション資料を普通に見ていただけるのです。
清潔でない服装でちゃらちゃら笑いあったりしていては、相手はプレゼンテーションのウソを探そうという気分に切り替わってしまいます。
話し手と受け手が相互に敬意をもって対する雰囲気を、入場から挨拶、説明開始までの時間に醸成することができれば成功です。自分の性格は変われないのだから、相手に対しへりくだりすぎることなく、相手を尊敬している気持ちを態度に表現してゆくことが大事です。芸人ではないですから、初心者は変に「うけ」をねらうギャグはやめましょう。
もし、プレゼンテーション構成が100%の出来だとしても、ひとつふたつ誤字や脱字があれば、やっぱりこいつらは信用できないとなってしまいます。
もし現地で誤字脱字を見つけて修正の時間がなければ、最初に全部のミスを説明してお詫びします。後でお詫びをだらだらやると言い訳がましい、いいかげんな性格と判断されてしまいます。
こうしたミスは役者がセリフを間違えてしまったときに、観客が非日常世界から日常世界に引き戻される興ざめの雰囲気を引き起こすのとおなじことになります。セリフを間違える役者が舞台には不向きなのと同様に、誤字脱字をもつスライドをつくるプレゼンターもまた失格です。これは完ぺき主義とは何の関係もない必須の条件です。
必ず質疑の時間があります。これもプレゼンテーションの範囲です。プレゼンテーションは相手に教えるのではなく、納得いただくわけですから、相手の質問への応答はその後の提案採用に大きな影響をもちます。相手は質問の形で自分の意見を言っていることも多いです。ですから相手の言っていることを反芻して、こういうことですか?と問い直し、受け入れて、相手より一段上のランクの人ならこう考えるだろうなという部分で双方の意見を比較しておくだけでよいでしょう。何でも相手の言うことを受け入れていると逆に信頼されないことになりますし、反対意見で相手の面子をつぶせば嫌われてどんなに相手がいい案だと感じていても拒絶される結果となります。
企画会社でもないあなたが社内用にプレゼンテーションを作るときは、自分の研究なり提案を上司に理解してもらい、あなたが展望する世界を、部門の予算として現実化するような方向を狙うときが普通でしょう。 予算獲得がねらいなら言いたいことははっきりしています。
初心者のためにパワーポイントのなかに色々なビジネスシーンに応じた発表構造(章だて)のフォームが準備されていますので、はじめはそれを利用すれば、どのような順番に発表しようかと悩まなくても済みます。自分で作るときは次のようにすると良いでしょう。
もしあなたには展望がなく、よくやったと言われたいだけのプレゼンテーションでは問題です。そういう気持ちが強いと、「いったい君は何を言いたいんだね?」という相手の質問があなたには非難に聞こえてしまいます。誰もが同じ道を通ってきているのだから、わざわざ仕事の時間を割いてあなたのがんばったことや苦労したことなどは聞きたくはないのです。
プレゼンテーションを作成するにあたって、まず、自分の苦労部分やよく思われたい部分を意識してそぎ落として作るべきです。QCサークル活動などでは苦労話が重要な構成要素になりますが、あなたが個人でプレゼンテーションするような場ではあなたは自立した大人として振舞うことが要求されています。
もししっかりした上司なら、「苦労があったんだろう?」と質問してくれます。そのときはチャンスですから、苦労話をしましょう。
良いコンテンツ(発表内容)があることが何より大事です。
発表には発表時の機材が必要です。
パソコンでプロジェクターで発表することを考えておけば大体大丈夫です。
現在では、オーバーヘッドプロジェクターOHPを使うところも減ってきていますし、35mmのスライドも暗室がなくなってきて使われません。ほぼプロジェクターになってきました。
まず、マイクロソフト パワーポイントによる資料作成を習熟することです。誰かに教えてもらうことをお勧めします。独学では私の経験では最初の最初が壁になりやすいです。そこを通過できれば、むしろ易しい使いやすいソフトです。
パワーポイントは、紙芝居的な動きや、インパクトのある表示方法がいくつか準備されていますから、見る相手にとっては飽きさせず画面に集中させやすいツールです。動画を一部分に表示しながら口頭で説明することもできます。大きい企業では、部門単位まで業務報告用にパソコンですぐにパワーポイントのプレゼンテーションできる設備が整っています。
海外の学会でオーラル発表するにもパワーポイントが使われます。エクセルと同じようにビジネスや研究の世界の基本ツールとなってしまいました。別にマイクロソフトの回し者でもないし一銭ももらってはいませんよ。
海外でプレゼンテーションするときにはフォント選択には注意が必要です。通常では現地にパソコンが設置されて、これを利用することになります。このパソコンには、日本語対応のフォントが入っていません。 あなたはCDなどを持参してそこから現地のパソコンにダウンロードしてプレゼンテーションをすることになるでしょう。
もしMSPゴシックなどの英字フォントで書いていたらどうなるでしょう。まず字体の大きさの違う文字で表現されるために、パワーポイント等で書いたレイアウトがあちこちにずれたり、重なり合ったりしてしまいます。さらに、部分的にはフォントがなくスペースしかないとか、現地の記号が脈絡なく表示されることになります。
ここであわてて、全部の文字を現地のフォントに切り替えるとどうなるでしょうか?同じ事しか起こりません。結局全部の画面のレイアウトを修整し、現地のフォントで文字を挿入することになります。写真になった文字ならこういうことは起こりませんね。
海外でのプレゼンテーションは作成前にどの字体が使用可能かをあらかじめ問い合わせておくことが必要です。アメリカでの発表でゴシック体にしたいのならArial体で書いておけばよいでしょう。
プレゼンテーションはわずか10数分で、あなたの才能のレベルまで判断されてしまいます。普段見たこともない人の前で発表するのですから仕方ありません。次からまかされる仕事範囲が変わったり、認められて異動の対象となることも多いのです。
最初のプレゼンテーションは自分の奥さんや親、友達などに見てもらって十分練習すべきです。シナリオも何度も作り変えましょう。その経験は次のプレゼンテーションを作るときに飛躍的に早く高いレベルのものを作れる能力を育んでくれるはずです。
あなたがほめてもらおうという気分が強いと、こうした試みはあまり役に立ちません。相手の正直なアドバイスがあなたへの能力批判に聞こえてしまうからです。なんと言われようと、言われた内容を繰り返して確かめて、次に「ありがとう」といえなければいけません。
きちんとした総説が書けるようになっている人は、一般の人に比べて世の中がより正確に見えています。経営層といえどもわかっていないことを知っているということが、社内で悲劇を招きかねないという話。
外部の目でみて、100%の検討がなされたがっちりしたプレゼンテーションをしたら、経営層や管理層が、「そうか良くやった。すぐやってみよう。」といってくれると考えると間違いです。
大上段に振りかざした企画案は、はじめて聞く管理層や、承認を迫られる経営層に不安を抱かせます。巨大なテーマであればあるほど、彼らは直感的に逃げようと模索することが多いものです。むしろ、狭い範囲で提案し、「まあ、この程度ならいいか」と目こぼししてもらう方がすんなり進んでゆくことも多いものです。
結果が出て話題になり始めれば、多くの人々が寄ってきます。「よくやったね」と言ってくれることはまれで、「今度から俺に相談してからやれよ」とか「昔から俺の意見はこうだったんだ」と言わせればあなたの作戦勝ちです。にっこり笑顔で、「こちらこそよろしくご指導ください」とでも言えばいいのです。ただし、報告・連絡・相談の相手はきちんと見極めておくことが大事ですよ。
大上段の企画が通る場合というのは、会社が左前になって、何とかしないと経営層が「自分の立場が危うい」と感じているときです。
経営が順調で、企画や人事が羽振りを効かしている状況では、巨石をすこしずつゆらす、企業内官僚を刺激しないやり方も作戦のひとつに加えましょう。
全社的に優れた企画部門以上の企画を作って、企画部門がよろこぶとおもいますか?社長に、「お前らこれだけ人数がいてこいつ一人に勝てないのか、ふふっ」といわれたらこまるでしょ?
「ですぎた真似をしやがって・・・」と組織的に危険人物視されることも考えておきましょう。
このビジネス・メカニズムの意味は、あなたが本当はプレゼンテーション作成時に将来が見通せていなくても、目こぼし企画さえできれば、会社を揺るがす仕事をすることができる可能性があるということです。タコだって勝てるときがある!
「俺がやった」といわずに、「皆さんのおかげで・・・」という態度で、味方づくりができているほうが日本の会社で企画を通してゆく場合には、強力なときもあるものです。それに目こぼし企画だったら他人が入ってこずに、あなたが中心で動ける可能性が高いでしょ?結果が出たとき、あなたがやっているということを広くアピールできます。
逆にどんなにいいアイデアを持っていても、公式の場で目こぼしプレゼンテーションでもしていなければ何も起こりませんよね。いいプレゼンテーションでなくてもよいからプレゼンテーションをする側になりましょう。
いきなり、企画案にまで具体化せずに、タイミングを見て総説を社内的に発表しておくほうが少なくとも社内官僚に敵視されることにはなりません。 その後企画部門が表向きは自分達が企画したとして総説に従った内容を発表したとしたら、それはすばらしいことです。あなたの考えは正しいことを認めたわけですから。体面だけしかない人々よりあなたの方がもっと素晴らしい人間であることを彼らが証明してみせてくれたわけです。こそこそ動いた企画部門があなたを悪く言う可能性はありますが・・・。このような時、普段からあなたがみんなに好かれていれば、悪いうわさも立ち消えとなります。
発表が終われば、研究は一区切り。 ≫ みんな最初はへたくそから始めた。早いほうが恥ずかしくないぞ。 石田秀人 |
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