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海岸に300m高の三日月山を作りましょう
都市廃棄物を埋め立てながら淡水湖と長い干潟、漁場を形成してゆきます。
風美海HP
世界の観光地を目標に温暖化むけの漁場 温暖化のメカニズム

三日月山、淡水湖、干潟、漁場、
ウインドファームを作ります


メガフロートには
ゴミ分別圧縮プラントと
風車発電設備をのせます
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進行中の漁場形成イメージレイアウト図

 

 ■  建設廃材、産業廃棄物を埋立して、高さ300mの三日月山を作る

この提案は、海のなかに森を作り地球温暖化を防止する提案です。しかし防止する策だけでは、日本は経済的に貧困国になってしまいます。

これは、地球の温暖化防止と、排出物リユースを同時に達成しながら、温暖化で生じるリスクを回避する具体的な提案です。この提案を実行すれば、同時に将来のレアメタル資源輸入の途絶への準備、食糧としてのたんぱく質源の確保、エネルギー資源の確保とその排出物の有効利用なども同時に達成できます。

都市が新陳代謝してもゴミが日本中にあふれない美しい国を作ろうとする提案です。

建設廃材だけでも年間排出量は約4億トンもあります。日本経済が大量に吐き出す建設廃材や都市ゴミ、石炭火力発電スラグなどで、時間をかけてあらたな調和した沿岸を形成してゆきます。宝物のような干潟や浅瀬を避け、水深200mほどまでの外洋域に新規の漁場を形成し、沿岸埋め立てで生命の循環が破壊された場所などに生命循環の場所を修復形成します。
海面下埋め立ては、土地を干拓するのではなく、光る海底を造り、漁場を作るために行います。

まず内側に巨大な淡水湖を持つ、300mほどの高さで、4km四方の三日月山を海の中につくります。隣接して、ヨシ原、松原、汽水域、干潟、浅瀬、アマモ場、防波岩礁帯、さんご礁または藻場を、ゆっくりと形成してゆきます。炭酸ガスを継続的に海に吸収する海の森作りです。数1000haの漁場を作ってゆきます。(上記イラスト参照)
その資材とエネルギー源は、人間が排出する建設廃材や都市ゴミです。日本は世界中からレアメタルを集めて様々な電気製品や自動車などの商品の中に組み込んでいますが、ゴミになった時点でそれらは日本国中に散らばってしまっています。日本が世界中から輸送して集めてきたゴミになっているレアメタルなどを漁場の下に鉱山としてたくわえ、将来の資源不足に対応します。

漁場が形成された後には外洋に浮体型の風車群によるエネルギー基地を形成し、流れ藻環境を保ってサンマやイワシなどの漁場を外洋に付加します。人工のサルガッソ海が形成されます。

深海の湧昇流をデザインした海底形状は、世界に名だたる漁場を新たに生み出します。

 

三日月山は、高さ300m、巾4kmほどに形成します。三日月にするのは湖を形成するためです。

埋め立てで作る三日月山には森が形成され、漁場の藻場が土砂で荒れないようにします。湖はそのための沈殿地であり、同時にアシなどの植物による自然の水の浄化機能を期待します。湖側の斜面は、緩やかな傾斜にして広い面積とします。斜面は森が形成された後では重要な淡水源となります。干潟の生き物の種類を増やす役割をにないます。森は、漁場の海藻や、サンゴを育成する栄養分を供給する装置です。

埋め立てながら草地と森を形成してゆきます。
当初は山がないために、浄化能を持つ湖を作るために、下水処理場を三日月山に併設します。漁村の生活廃水を処理しながら、処理水は埋立地周辺の法面に散水されます。こうして、草本と木本の植物が早く生育して、土砂流亡を防止できるようにします。

居住区域が近く、排水処理場の悪臭や、ブロワ-騒音が問題になる場合には、排水処理場は三日月山の湖側(内側)に設置されます。山が遮音壁となり、音の発生するブロワーの吸気口を海がわに向けることで住民にはほとんど音と臭いの問題はなくなります。

産業廃棄物は、漏水しない区画を作り、屋根をかけて管理しながら三日月山に埋立をします。山の両面の雨水は全て湖がわに流れるように水路を構成して、汚染管理できるようにしておきます。排水処理場からでる活性汚泥は、コンクリートから流れ出るアルカリ水の中和のために、山の斜面に生のまま散布されます。これは土壌形成を早め、それ自体が肥料として草地が早く形成される効果をもたらし、形成中の山からの土壌の流出を防止し地下水位を上昇させて森の形成を早めます。
過去の日本人は下肥を肥料化することで高度の循環型社会を形成していました。これは同じ循環型のシステムを取り入れるアイデアなのです。充分な浄化が出来るように、山の森林−淡水湖−アシ原−干潟の浄化機能をワンセットにしています。

生の下水処理汚泥を埋立地法面に散布するのは、4つの効果が期待できます。

  1. 汚泥の持つムコ多糖類は流動する砂粒を糊のように付着させ、コケ類・草の種が発芽成長する条件を作る。砂塵の飛散を防止し、法面が保護され、緑化が早まる。
  2. 生の活性汚泥はミミズの餌になるため、ミミズにより斜面に早期に土壌形成される。自然の植生が早く定着する。それは透明な湖になる仕掛けでもある。
  3. 生であるため、分解が遅く肥料効果が緩効性肥料と同じようにゆっくりと効き、淡水湖、漁場に対して一時的な大量の栄養供給を防止することができる。
  4. 適度な持続的栄養供給は漁場を汚さず、さらに漁場の生命量を豊かにしてくれる

三日月山の森の形成方法は、人の活動がポイントになるため次章「世界の観光地を目標に」に示しました。

巾だけでも4kmにもなる巨大な三日月山の形成の意味する所は、地球を守り、環境保護をしてゆこうとする日本人の意思のシンボルとなります。私達の世代で、ピラミッドを作った古代エジプト人や、万里の長城を造った中国人や、東大寺を作り京都の都市計画をした古代日本人の構想力に負けないモニュメントを作るのです。        

 

 
  湖の機能

埋立地の雨水にはアルカリ性の水の中に、細かい砂と、大粒の砂が入っています。細かい砂は藻場を荒らすので湖に導き、大粒の砂は干潟の形成のために海側に誘導します。このために、雨水中の砂を分離する目的で、液体サイクロンを設置しておきます。

淡水湖は、海に流れ込む雨水の水質を調整する目的をもっています。土砂分などを沈砂させ、埋め立てたものの流入によるアルカリ性や酸性を中和させ、過剰の有機物を除去します。

このために、湖の断面形状はなだらかではなく、燐酸成分の除去のために周辺植栽が貢献できるように浅い広い面積と、急激に深くなる部分を形成して湖の再生機能が破壊されないように淡水富栄養化が起こりにくくしておきます。
砂と有機性の燐分がたまる湖深部には、はじめから沈砂の浚渫が出来やすい構造にしておきます。浚渫された土砂は、埋立地に戻して、廃棄物間の隙間をうずめてゆきます。

淡水湖の場合、アオコなどを発生させないためには、ミジンコなどの動物プランクトンを維持できる環境を作る必要があります。そのためには水深が0−3mの充分な湖底面積(40%以上)を持ち、沈水植物帯が繁茂していなければいけません。

湖の浅瀬部分にはフサモやバイカモなどの沈水植物等を積極的に移植し、淡水における生命体の群集形成の基盤を早期に発達させます。すでに多くの生命体が絶滅した地元の溜め池や湖の底にはまだ生きている種がシードバンクとして残っています。積極的に浚渫した底泥を三日月山の湖に移植させます。

さらに、湖の下層に魚類が嫌う貧酸素水塊ゾーンが必要です。動物プランクトンは魚のいる日中は貧酸素水塊ゾーンに下りてやり過ごし、夜間に水面に上がってきて植物プランクトンを食べる習性を持っています。 この理由から、湖の深部は20m以上の深さが必要です。
また、ヨシ原などにおける日光があたらない水面下では貧酸素部分が浅い水面下でも生じるため、ヨシ原もまた動物プランクトンの逃げ場として、湖の透明性維持には重要な役割を果たしています。この理由から湖岸は綺麗な三日月の曲線には形成しないで、ジグザグの複雑な形状に形成されます。

繁茂した沈水植物帯は小型の舟のスクリューなどに巻きつき動けなくするため、淡水湖で漁業を認めると沈水植物を刈り取れという要望が出てきます。そのため当初より淡水湖での漁業は禁止されます。三日月山と淡水湖はサンクチュアリ(聖域)なのです。

こうすることで、淡水域、汽水域、潮干帯、浅瀬砂地、アマモ場、岩礁、藻場などの連続した生命循環の場を人の手によって再構築します。

湖に供給される水資源は、三日月山にたまった雨水が主になります。だから山の面積と規模は小さくできないのです。水資源の供給を補強するために排水処理場が隣接されます。

湖水の出口側には、ヨシ(アシ)、ガマ、ジュズなどの植物を積極的に育成し沈砂をうながして、鳥の生育地にします。こうすることで、植林地の植物を害虫から保護します。こだわらずに、一部スイレンやハスの群生地をこしらえて、世界一の天平ハスの花園を作ってもいいでしょう。
湖の機能保護のためにアシ場と干潟の間には潮風の直接当たる痩せ地でも生育可能な黒松などの植物で防風林が育成されます。奥行きが100m以上の美しい松原になるでしょう。三日月山と森とが形成されれば、水路には蛍も飛ぶでしょう。

湖には立ち入りを禁止することで、ブラックバスなど外来生物のいない、タナゴ類やモツゴ類など日本古来の生物種が繁殖する湖にすることができます。日本の淡水魚の遺伝子源の保護につながります。

いっぽう、干潟の植生管理には新機軸も取り入れましょう。温暖化が継続して強まるようなら、干潟にはメヒルギやオヒルギのようなマングローブ林を形成してもいいはずです。氷河期の人間が現代の植生を批判して氷河期の植生に戻せということがおかしいように、現代日本の植生を守るばかりでなく、温暖化でおきてしまう植生変化に早く追随させたほうが良い場合もあります。

 

 
  干潟の役割

100haほどの干潟を形成します。

干潟にひきつづいて、同じ面積で遠浅の海底を作ります。連続させることで、幼魚などの生命保護の役割をにないます。

干潟は、多量の有機物を分解して、キレイな酸素の多い海水にしてくれます。1000 haの干潟は1日約1000 kgの有機窒素を処理できます。汚濁量CODとしては4トン以上です。人口10万人の都市に必要な下水処理場建設と同じ浄化能力を持つのです。(愛知県の水産試験場試算)
埋立地から流れてくる有機物の残りを、干潟でくい止めます。出来上がった漁場がいつまでも、荒れないようにしてくれる安全装置です。

干潟は漁場に必要な多くの藻類や微生物、小動物の繁殖の場所として、食物連鎖のサイクルの重要な場所となります。世界中で行き場を失っている海鳥や渡り鳥たちが集まってくる場所になるでしょう。

当然干潟の埋立にはコンクリート廃材などの建築廃材が埋め立てられます。砂地形成には埋め立て前の海底から吸い上げた土砂で形成されます。現場の海底に居た多くの生命がエンブリオバンクとして保存されます。いっぽう砂を供給した海底も埋立によって穴はなくなりますから、異常なヘドロ海域になることはありません。

干潟の周囲にはテトラポッドなどで砂の流亡を防止する堰が設けられます。堰は、7-10mほどの高さとして、万が一巨大津波がきても、産業廃棄物の埋め立てられた三日月山が破壊されないように配慮しておきます。浅瀬の岩場を好む魚たちが産卵し、仔魚が身を隠し成長する場になります。

干潟に隣接して、海水が交流でき、魚も行き来できる「アマモ場」が設置されます 。

アマモには星砂をになるサンゴの一種、バキュロジプシナなどが葉などにつき生活します。これらは命を終えると星砂となります。アマモ場は年間に数トンの砂を供給することのできる、干潟維持に重要な役割を持ちます。ですから、アマモ場は河川による砂の供給がないときには、干潟に対して砂の流動の上流側に設置されます。

アマモは海草(うみくさ)の一種ですが、藻を好む多種類の魚が産卵します。

アマモ場は子魚だけでなく、魚の餌になる動物プランクトン類の隠れ場所でもあります。逃げ場所のない環境では動物プランクトンが一網打尽になり、その結果増えてくる植物プランクトンだけの濁った海になってしまいます。植物プランクトンは、たまに赤潮としてその毒性により魚介類を一網打尽にしてしまうことも出てきます。小動物にとって干潟やアマモ場、藻場などが隣接して存在していることが必要なのです。

これまでの日本は、人の経済活動と無知な護岸形成で漁業環境を失ってきました。漁場はそのままでも、水産生物の幼生が生活できる場所を奪ってきたのです。すでに埋め立てや護岸活動などで疲弊・消滅しつつある周辺の海洋生命の幼生や微小生命体の失われた環境を新設・再生させることで失われた漁獲を再生することができます。

風美海プロジェクトを実行に移すことで、これから構築させる漁場だけでなく、これまでの経済活動によって機能できなくなった近隣にある既存の漁場も再生できるのです。

風美海全景

 

 
  埋立の主役、メガフロート

都市ゴミを分別し、圧縮成型してピラミッドの巨石のような塊を作り、有害物が漏れ出さないコーティングをして、海底にならべて海面下に埋め立てます。コーティングには、焼却灰や石炭スラグなどが役に立つでしょう。

漁場形成が目的ですから、埋立地はすべて海面下になります。継続的に側壁を作ったり、漁場になる天面には漁礁を設置したりして光の届く海底を作ってゆきます。天面に漁礁を隙間なく静かにならべることで、底泥の土砂を舞い上げることも少なく、かつ埋立地からの有害物漏出が防止されます。分別された埋立地は、その内容が記録され、将来必要になったとき再利用できる鉱山となります。

メガフロートの周囲には海中にネットが設置され、埋立途中の浮遊ゴミをせき止めます。メガフロートは、埋立が進むにつれて沖へ移動させてゆきます。

メガフロートの外観は、設備の大部分がメガフロートの水中部分にセットされますから、たくさんの風車群が回っている空港のように見えるでしょう。
メガフロートには、ゴミ処理プラント、漁礁・側壁ケーソン製造プラント、埋立ブロック投下設備、その動力源として、安定した強い海上風を利用した風力発電施設、フロートを安定させるための波浪発電装置が設置され、全体管理部門の事務所と、大学院研究所が設置されます。可燃ゴミ焼却発電プラントも積載されます。

石油による火力発電が不可能になれば、石炭による火力発電所が必要になります。石炭火力発電所をメガフロートに乗せることは多くのメリットがあります。多くの焼却灰を直ちに埋め立てることで、土砂の輸送エネルギーを節約し土砂採掘による自然破壊が防止できます。さらに地震など自然災害時でも電力が途絶えることがありません。

メガフロートが都市廃棄物の分別処理場である限り、そこからの温熱排水と焼却処分排ガスが出てきます。海上ですから大気放出分については、ダイオキシン防止策を陸上並みにすれば、ダストが出ても海流は滞留しないので広く拡散し安全すぎるほどの対策といえるでしょう。

焼却プラントでは熱水が発生します。深層海洋水と熱水の温度差は簡単に20℃を越えますから、温度差発電が利用できます。栄養塩のおおい深層海洋水を温度差発電でくみ上げながら熱水の温度を冷却して漁場に誘導します。栄養塩はプランクトンや甲殻類の多量の発生を促します。また、アマモやサンゴ、その他の藻類の生長も促進します。同時に深層海洋水の低温によって水産生物の成長が抑制されることも防止されます。
廃棄物焼却熱が、大気中の炭酸ガスの吸収に役立つシステムが作れます。

問題は人間由来の有機物を含む温排水です。もし廃棄物洗浄に海水が使われる場合には、塩水排水を処理する処理場が陸上に設置されます。塩水排水処理場−塩水池−干潟のルートの有機物浄化システムを利用するのです。ここで残る栄養塩は漁場の藻類が資化して魚類の成長を促します。

塩水排水処理場の処理水と湖水から流れる淡水を混合して干潟に放流するゾーンをあらかじめ計画しておきます。ここは栄養塩のある汽水域として機能します。汽水域を形成することで、より生命の種類を増やすことが期待できます。

メガフロートにはアクセス用に橋がかけられています。橋の上に排水パイプラインが設置され、メガフロートで出る排水はメガフロートから三日月山の排水処理場へ返送します。このように淡水湖と塩水池の二つが造成されなければいけません。
塩水池を作る条件なら、干潟面積を数倍に引き上げて、干潟の浄化能力を利用した浄化システムとします。エネルギーを使用しなくて済む持続可能型の計画になりますし、温熱は干潟面積で大気放出されるため漁場の温度変化が緩和できます。

廃水処理から産出される活性汚泥は、ムコ多糖類の性質から、水中の重金属類を定量的に効率的に吸着します。したがって、多量の海水に接触させるとウランなどの金属を回収できる可能性が高い。キレート試薬とpHの調整で選択性の高い金属回収ができます。この技術はキレート試薬の量を減らしながら、汚泥からの金属をはずせるため、活性汚泥の肥料としての利用価値を高める技術です。都市からの排水を処理しながら、海水中から金属資源を工業的に安価に回収できる技術にできるでしょう。筆者はこの活性汚泥からの金属の回収方法の特許を持っています。どうぞお使いください。

こうした資源循環型の技術を高めることで、都市機能の再配置を行ない、都市排水の重金属の排出を減少させながら、海水への栄養塩類の補給を行いつつ、金属資源を回収できる可能性があります。

地球温暖化と人口爆発、資源問題が国家間の紛争のもとになり始めている現在では、国家官僚には、テリトリーを越えた課題へ向かって、こうしたプロジェクトのプロデューサー的役割が期待されています。

埋め立て終了後メガフロートが退去したあとは、排水返送パイプスペースは、風車電力の返送や、通信配線の設置スペースにすることができます。

公害防止と並んで効果的な設置方法を改善してゆくために、水工土木・海洋生物・環境循環・植物・海洋開発データベースなど多くの分野の研究が必要です。これらの機能をワンセットでメガフロートに載せ、トラックがとおる浮き橋などで陸上とのアクセスができるようにします。
研究所は、環境測定、サンゴと海藻の苗の増殖と、早期の漁場形成への研究・指導を行います。この研究所は、日本の次世代巨大ビジネスのインキュベーターとして位置付けられます。

船舶の事故や故意による海洋への油流出は、沿岸の生態系を一時的に壊滅させる影響力をもちます。自然の沿岸では完全な油汚染防止は不可能に近いのが普通です。

風美海計画では、メガフロートまでの橋にオイルフェンスを取り付ける方法で干潟・アマモ場・海中林などへの被害を防止することができるように当初より計画することができます。速やかな汚染防止フェンスの設置が可能であれば、色々な生物種を部分的ながら風美海漁場の内部に保持できることを意味します。翌年からの被害を受けた沿岸の生物層の復活のためにエンブリオ・ソースとして機能でき、原状回復の時間を短縮できます。

また風と海流の方向で、流出油を一定の方向に導けるので流出油回収も可能になります。人工の漁場であることの有利な点です。電源もそばに固定してあるので安心です。巨大地震にも送電能力を保つ目的があるなら、送電設備をメガフロートにして残しておくことも考慮されるべきでしょう。

 

 
  漁場の海の中の様子

長さ4kmのメガフロートで外洋に向かって、水深200m の深さくらいまで埋め立て、数1000haの漁場を形成します。海の中は平原ではありません。わざと水面下は1〜20mになるように、でこぼこに形成されています。平面だと単一の生物が優先種となり、周期的に海が荒れてしまいます。多様な生物が生きることができる地球環境変化に強い海底にします。(詳細は 第3章 地球温暖化へ)

巨大なビルの大きさの漁礁と漁礁の間はぴっちりと接着させずに、人が入れるくらいの隙間を空けて設置してゆきます。この間には、イシダイなど大型の魚が住むようになります。

この隙間は、もう一つの意味があります。海底にウニの食害がおこって磯焼けが生じ始めたときに、一部漁礁区画を徹底的にウニ除去することで海中林が保護されて、次年度の回復が期待できます。そのとき他区画の漁礁からのウニの移動を防止するのが最大深さ20mほどのこの隙間になります。

時々、海上に顔を見せる岩があったほうが、航行する船や漁をする漁民にとって水深や舟の位置がわかって便利でしょう。松の生えた岩場は美しい景観をもたらしてくれるはずです。海の中にすっくと立つ真っ白な水神様があってもいいかもしれません。マーライオンや人魚姫のように観光(詳細提案は次章へ)の目玉になるでしょう。

里山に人の手が入る思想と同じで、里海の維持管理作業が始まります。ロープ上で人工的な海藻育成ができるような係留点が海底に多く作られます。
種となるサンゴ保護区域とか海藻保護区域を維持するために酸素を供給してくれるサンゴや海藻が漁場のどこかで生き延びられるような場所を満遍なく作っておきます。
こうして白化や磯焼けを軽減しつつ一年中色々な魚を捕ることが出来ます。

漁場の巾は、必要以上の広さにせず台風や津波などの時に漁場の上に乗り上げた海水が、埋め立てていない両わきの深いほうへ移動できるようにしておきます。こうすることで高波による護岸の破壊を軽減する工夫をしておきます。

既存の海底を生かし海面下の漁場形成をV字型に形成すれば、元の海底の傾斜と漁場の側壁によって深海流の湧昇をもたらしてくれます。エネルギーを使わない持続型であって、漁場に必要なクリーンな栄養塩が継続的にもたらされる仕組みが出来上がります。湧昇流を利用することで長崎県での試験では3倍以上に漁獲が増えたといわれています。

海底に埋め立て部分と元の海底を交互に残す意味は、次のような理由です。

  • 津波・台風などの大潮で海水が乗り上げたときの水の移動場所を作り被害を軽減する。
  • 深層海流の海岸方向への誘導を計画して、山・湖・汽水域・干潟・浅瀬・藻場・漁場・深層漁場・深海底のワンセットを人工的に形成して、まだ未知のものを考慮して多くの生命体の生活環をセットしておく。富山湾などの事例を研究する。
  • 当初の海底のエンブリオバンクを保全する。
  • 造成した漁場に隣接して、20m以上の深度の海底がもつ未知の漁場効果を大深度まで連続的に維持しておく。

 

 
  海上における風車発電基地の全国展開
浮体型風車群とサルガッソ海

沖合いの海上は乱れの少ない強い風に恵まれています。風力発電には陸上より有利です。
地形などの理由で埋立を終了させるとき、海面上まで埋め立てて、消波提の小島をつくります。この小島にはこれから継続して建設される、浮体型の風車発電によるウインドファームの開発基地が置かれます。

メガフロートには係留する形で2〜5KW×40基ほどの風車が並んでいます。風車発電装置と波浪発電装置、育苗設備をメガフロートから切り離し、小島の上に固定します。こうして日本中の海上に風車発電が設置され、増加してゆきます。

メガフロートは一旦プラントの改造、設備メンテナンスのためにドックに入り、次の埋立地へと向かいます。新しく連結された風車発電装置等が次の埋立地で稼動を開始します。
オランダが長い時間をかけて風車で土地を広げたように、日本では漁場と風車発電基地が次世代のために広がってゆきます。海の上に浮かぶ一直線の風車群は、それだけで観光の目玉になる不思議な光景を見せてくれるでしょう。

この小島は、単体で海上に浮かぶ方式の浮体型風車の外洋でのネットワークを作るときのアンカー・ポイントとして機能できます。 すでに1〜3MW/基クラスの風車がターゲットとして開発されつつあります。海面からいきなり風車が突き出している広大な風車群の浮かぶ光景はわくわくしませんか?

風車と風車の間の海の中にはネットが張られています。そこは人工のサルガッソ海です。

ネットには通年収穫できるジャイアントケルプや不稔性アオサなどが育成されてバイオプランテーションが形成されます。またホンダワラ類など幼魚のゆりかごとなる海藻なども育成されます。ネットは海洋温度差発電(OTEC)で回収される海洋深層水を海面近くにとどめる役割を持ちます。海洋深層水の中に含まれる栄養塩は海藻や植物プランクトンの肥料となります。ネットから収穫される海藻は小島にあるバイオオイル製造工場へ集められてジーゼル油となります。

夢のような話ではなく、すでにデンマークではコペンハーゲンの沖合い3kmの洋上に2MW級の風車基地が稼動しています。中国では浙江省舟山市の浅海域に2MW×100基の洋上発電所を建設する計画が動き出しています。将来は50万KWの発電体制が予定されています。

この小島までは、埋め立て材や都市ゴミ搬送のためにすでに橋が建設されています。埋め立て終了後には、洋上発電で海水から作った水素をトラックが搬送する橋になっています。メンテナンスだけの橋ではありません。

この小島は地球温暖化を起こさせないエネルギー獲得のコアとなります。

  • 風車電力のアンカー・メンテナンス基地
  • 貯蔵形エネルギー(水素・メタノールなど)変換基地
  • バイオプランテーション管理基地
  • バイオオイル(ジーゼル油)製造基地
  • 生産エネルギーの海上輸送基地

 

 
  消波提としての小島の海中の様子

消波提としての小島の海底部分には、深層海水流の漁場への誘導が計画されています。アイゴなどの海藻を食べる魚に海藻が一網打尽にされてしまう可能性を、海流の変化によって防止します。
さらに、深層海水の漁場への誘導は、栄養塩類の供給によって、動物プランクトンなどの増加をもたらしてくれます。

小島の外海側には、積極的にサンゴ礁の形成を早める工夫を施し、小島の表面を石灰石でおおうようにします。小島は、年々強化されてゆき、波浪と海流による小島の破壊を防止します。サンゴ礁による補強は、海水温の高い西日本では、特に有効な方法となるでしょう。

同時にサンゴによる炭酸ガスの固定が行われるから恒久的な地球温暖化防止のための施策となります。 日本は、森林面積を増やせない分、漁場での炭酸ガス固定化を含めると数1000haの森林に匹敵する海の炭酸ガス固定面積を増やすことで国際的な炭素税の負担を軽減できる方法を入手できるのです。

さらに外海側もまた、回遊魚を中心とした魚種の異なる巨大な漁場になるでしょう。小島よりさらに外洋側にある浮体型風車の間には、ネットが張られて「流れ藻」を保持している形の藻場が作られます。人工のサルガッソ海ですね。外洋型のサンマやいわし等の稚魚等が保持されて、それに伴いカツオなどの魚類が集まってくるでしょう。

光底創りした面積に匹敵する漁場がサルガッソ海創造により、外洋に広がるわけです。外洋で発電できる浮体型風車の開発を目標にすることが大事です。

水中では漁場として機能する小島は、海面上でも大活躍です。浮体型風車群のアンカーとして、観光客の見学ポイントとして、漁場育成の研究と種苗のための基地として、風車建設企業の建設基地として、さらに発生電力を水素などへと変換するエネルギー生産基地として多機能の役割をにないます。

 

 
  海浜の土砂流亡を止める
松浦河口の干潟(右)

上流にダムを作ったために土砂の供給がなくなり海岸線が侵食されて土地が消失しています。そのために土地保全のために多額の投資をしている地域には、沖合いに埋め立てによる島を形成することで、海流と波浪の影響を軽減できます。こうした場合、三日月山は沖合いに形成されることになるケースも出てきます。

沙漠の緑化には、砂の流動を止めるために草方格という手段をとります。わら等を砂地に垂直に埋め込み1mほどの方形を連続させて、地上数10cmの防風沈砂の塀を作るのです。海流による砂の流亡も類似の沈砂技術が使えるでしょう。これを浅瀬の藻場形成技術と兼用すれば、海浜の流亡防止と共に、魚類の稚魚の保護にも役立つでしょう。
方格内にアマモを植えれば、根茎を張るためにより堅固な砂の流亡防止ゾーンを形成できるでしょう。

しかし岩盤のないところでの島の形成は海流による土砂流亡で、島が海中に埋没してしまう恐れがあります。海洋の中での巨大な構造物を作るときには、安価な側面形成方法、海を汚さない埋め立ての仕組みと段取りなどの研究がカギとなるでしょう。
安全を見越して、島の崩壊を防ぐために緩やかな安息角をとると、それはおのずと新しい漁場作りとなっています。三日月山の形成目的が海浜の保護であろうが漁場作りであろうが、実体として双方の機能をはたす同じ技術となります。

光底創り(海面下埋め立て)は本質的に地盤沈下を起こすため、安定するまで継続的に埋め立て材を供給しなければいけません。これを山砂で供給することは非常に不経済です。沈下が安定するまでの間継続的に供給される都市廃棄物でのやり方のほうが優れています。

地球温暖化は、激しい風雨を引き起こしています。そのために陸地から流亡する土砂量が増えているケースもあります。この土砂をそのまま広く海洋に拡散させる手はありません。河口周辺に巨大な内湾を形成するように防波堤としての島を作ります。それだけで、天然の干潟が形成されてきます。海底にあるせっかくの岩場を砂で埋没させないようにすることは、多様な生物の生存環境を守ります。それは次世代に豊かな漁場を伝える行為でもあるのです。

建設廃材などの埋め立てでこうした環境作りをすれば、建設廃材のみならず雨水によって山から削り取られた流亡土砂のリユースを促進していることでもあります。
このような埋め立ては、他の地域の海浜侵食をもたらしがちなので、充分な調査のもとで行われます。

火山の溶岩が海に流れ込んで出来た海底では前と藻類の種類は異なりますが藻場が成長します。今までと全く同じにならないからすべてのミチゲーションはまやかしで開発はやめるべきだという考えかたがあります。
これでは温暖化で白化するさんご礁を放置しろといっているわけであり、都市を形成すること自体やってはいけないことになります。この考え方を主張する場合、白化や、すでに都市が破壊した自然に対してどのように対処すべきかの説明をする必要があります(3章 地球温暖化に適応できる漁場を作る 参照)。行政側はミチゲーションといいつつ表面的な対応で自然破壊をしないように住民の信頼を得る方法で科学的な検討結果を隠さず公表すべきです。

唐津市には松浦川の河口域に広大な湖に見える汽水域の干潟があります。これは天然にできたものではなく、400 年ほど前に先人が川の流れを曲げて作ったものです。白砂青松の素晴らしい景観を作り上げています。市街地として特に下水道網がなくても浄化された海域環境を持つことができていますから、他の都市に比べて干潟によってかなりのコストセービングしていると思われます。

自然を改質することは、志が高ければよい結果をもたらすものです。

いま唐津砂として海底の砂を採取して持続可能な海底環境を破壊し、競艇や運輸会社の排水中の油分が干潟をむしばんでいます。石油エネルギーで人力以上の力をもった人間はそのことの意味を考えずに、戦国の時代の人々が作った宝のような自然を破壊しつづけています。

運用のやり方で世界の観光地を目指しましょう。
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