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最終更新 12月10日

第0章 最初のお酒の実験

| 0章 最初のお酒 | 1 章 基本ルール、コモンパス | 2 章 雑菌を追い出そう  | 3章 お酒の社会学 |

カビはこうじになるか?  やってみたゾ

生活感あるにゃー自然発生こうじ造りの実験実況をします。

実験道具です。

ネスカフェのあきびん、温度計、仏様の残り飯 、タコひも、かあちゃんの伝染したストッキングの先っぽ

生えたカビ1種類を選ぶぞ仏様の残り飯−みんなは何て呼ぶの11月26日  20℃

一晩仏様に放置してあった残り飯をネスカフェのびんへ素手でバラバラにしてポトン。
どんなカビが出るかな。
ふたは開けてあって好気的にします。

気を抜いたら胞子だらけ木灰です12月 9日  20℃

うぐいす色、菌糸が斑の条件に似た米粒を選んで新しい残り飯に添加。このとき草木灰の代わりにお線香の灰をオニギリに添加。アルカリ条件です。1週間ほどで3種類ほどの菌が生えた。ドミナントはどう見てもペニシリウム属で、麹臭よりカビくさい。

乳酸と酵母源のつもりですおにぎりを入れた12月10日  19℃

仏様の残り飯に糠床を内側にうっすらとつけてオニギリに。一晩置いて表面をサッと焼いたもの。熱いうちに入れたので、びん内が水蒸気で曇りました。

アミラーゼがあるかな12月10日 19℃

湯冷ましの水(温度はぬるいフロ水くらい)を添加して、菜ばしでオニギリのかたまりを崩しました。水はすこし多かったかな。さあ、失敗か成功か。ふたは密閉。
ネスカフェのびんのふたは圧力を逃がしてくれるので、爆発しない最適の発酵ジャーですね。夏場で発泡がすごいときはパンストの足先をかぶせてハエよけと好気条件維持が達成できるぞ。

発酵したよ12月11日 19℃

4時間ほどこたつの中に入れて保温したあとこたつを消して余熱で静置した。勢いよくとはいかないが、プクプクと発酵している。カビまみれのご飯は簡単にボロボロ崩れた。香りはカビ臭の中に甘い発酵臭がする。

発酵終了ストッキングでろ過12月19日 17℃

発酵終了時の状態。いまは時折気泡が上る程度の発酵です。カビ菌糸(米粒状)とでんぷん質分解残渣と分離している。香りは、甘酒のもろ味香とカビ臭の混合したような香り。発酵時の甘い香りを持っている。ダイアセチルや酢酸臭はしない。

タコヒモとストッキングを使い、写真のようにもろ味を入れて重力ろ過をした。ストッキングを熱湯に入れて殺菌すると縮んでちょうど良い目の大きさになるぞ。濁り酒?完成。回収150ml。測定器がないのでろ過液をガスレンジにかけて、ガラス面につくアルコールの出具合を見た。アルコールはチョビだね。少し長く置きすぎたかな。最初にしては大成功。ビギナーズラックか?

なぜ実験を開始したか?−酵母とアミラーゼの最初の発見

酵母は割と簡単に人類は知っていた

今は、酵母もこうじ(麹または糀)も純粋で安全なものが市販されている。だから上手下手はあっても、誰でもお酒はつくれるのさ。でも、酵母も糀も最初はどうやったんだろう。

実は人が農耕を始める前の大昔でも、酵母は、ブドウなどの果実を潰して置いておくと、比較的簡単に発酵するから穀物のお酒ができる以前から人類は知っていたといわれている。ブドウの果皮を熱をかけるとか、塩素剤なんかで洗ったら酵母が死んでしまうけれど、一見痛んでいるように見えるブドウでもそれは発酵している可能性が高いから、つぶせばワインができるぞ。発酵したブドウのかすにはたくさんの酵母がついていたはずだし、酵母の多い発酵残滓(ざんし)をなめればビタミンB不足の病気には劇的に効く薬だったはずだ。

ハチミツも森で狩猟する人々にとって、ハチから刺されてでもほしい甘い物で色々な品物と交換できた。ハチミツを水で2〜3倍に希釈すると良いお酒ができる。この場合、お酒は透明になるから、沈殿した滓(おり)が見える。それは酵母そのものなんだ。だから酵母のことは大昔から人々は見て知っていたんだよ。エジプトの最初のファラオはハチのマークを用いているから、ハチミツでお金と権力を集中させたんだろうね。

農業が始まる前から、果実ワインとハチミツのお酒ミードで人類は酵母を知っていた。

しかし日本酒のように穀物から作るお酒はそう簡単にお酒が自然にできるわけではないんだ。

農業が始まると、別の酵母取得の方法が出てきた。

昔はエンマーコムギといわれるコムギでパンを作っていた。小麦粉をパン生地ににしても、酵母が入っていないから固いパンになるため、薄焼きのパンを食べていたんだ。

同じ土器で毎日パン生地をこねると一部は土器に付いて残るから翌日パン生地をこねるときに前の日のパン生地が混ざることになる。今では、パン生地を一部焼かずに取っておいて次の日のパン生地に混ぜるやり方をするけれど、このときの残すパン生地を「友種」と呼んでいる。土器だから簡単に友種ができたんだね。特に、干しブドウや干しナツメヤシの実などをパンに混ぜ込んだりする家庭では酵母や乳酸菌がパン生地内にすぐに導入される。
友種を続けると、まもなくすっぱいパン生地(サワードウ)ができる。この中には酵母乳酸菌がほぼ純粋に住み着いている。だから、サワードウのパン生地は今のパンのようにふわふわの穴の開いたパンになったんだ。今では自然発酵パンとか言っているやつだ。ふわふわパンは今のパンと同じ食感だから、薄焼きパンよりふわふわパンがすぐに主流になった。

サワードウができたことは、穀物を使って酵母を純粋に保存しておける方法をみつけたということと同じなんだ。麦芽さえ発明(発見かも)されれば最初のビールができる下地ができた。

穀物からお酒を作るにはアミラーゼがいる

酵母はでんぷん質を分解できない。でんぷん質を煮たり蒸したりして糊化(米じゃなくご飯状態)したものにアミラーゼを加えると甘い糖ができる。酵母はこの糖なら分解して増殖できる。酸素(さんそ)がないと酵母はアルコールを造りながら増殖する。太古の人間でも、穀物からお酒を造るために、アミラーゼが必要だったんだ。

穀物のアミラーゼを発見するきっかけは、お酒ではなく甘い物をほしがった当時の食事事情から出てきた。

麦の発祥地の研究から人類は乾燥地帯のメソポタミアから農業をはじめたといわれる。人類は乾燥した畑に水を引かないと麦の芽が出ないことを初めから知っていた。灌漑(かんがい)を始めたときに広い土地を畑にすることができたし、余剰の農産物が獲得できて、他の土地の商品と交換する貨幣のような意味を持つ富を入手できた。

ニンカシの賛歌といわれるメソポタミアの古い文章が出土した。いまではそれが古代メソポタミアのビール造りの方法だったと信じられている。この中に麦芽作りの方法の部分が出てくる。 土の上に大麦の層をつくり水を撒く方法で、強い日差しのメソポタミアでは最初の麦芽ができた。麦を発芽させるのは簡単で水につければよい。むしろ発芽を良いタイミングで停止させる方法が麦芽発見につながる。

灌漑するために水を引いたときに誤って、あるいは、芽を早く出させる目的で麦を入れた編み籠をぬらせば、メソポタミアの強い日差しでは簡単に乾燥されるから麦芽はできる。麦芽が普通の大麦とちがうことは、石臼(サドルカーン)で粉砕すれば、極端にもろく粉砕されることで違いがすぐにわかるし、その粉でパンを焼くと、水あめの主成分である麦芽糖ができるので非常に甘くなる。次からは、その甘さを求めて、積極的に水につけた麦を畑に放置するようになるだろう。

穀物は発芽のエネルギーをたくわえるために、でんぷん質を作る。発芽するときには、アミラーゼという酵素を種が作り出し、少しずつコントロールしながらでんぷん質をブドウ糖という糖に分解しながら成長するんだ。人間はこの発芽のアミラーゼを利用する方法を考え出した。発芽のアミラーゼが出てきたところで、天日で乾燥すれば、アミラーゼの含まれた麦芽が手に入ったからだ。
サワードウに麦芽の粉を入れてパン生地を作れば、お酒になる3点セットである乳酸、酵母、アミラーゼがでんぷん質のパン生地の中で一つになったわけだから、すぐに発酵することに気づいただろう。何せパン生地に強いお酒の臭いがするのだから。

では、アジアの酒に多いコウジカビはどのように発見されたのか

まだ誰も知らない。だから実験してみよう。あまりキレイでない条件で麹を作ると酵母が自然に麹の中に生えてくることが知られている。だから、ご飯にカビをとりあえずはやして、そのまま水につければ酒ができるかもしれない。いまの知識からだと、先に乳酸菌が乳酸を作るか、果実酒を入れて、酵母を沢山添加すれば酒になるだろう。でもそれでは、最初の最初、なぜ人間はカビに発酵能力があるかを発見できたかわからない。とりあえずカビの種類によらず水を添加してみよう。それがこの実験の動機です。

第1回目 11.26〜12.18   (上の写真)

一晩置いたご飯に自然につくカビのうち、麹菌に近そうなものを選んで付着させ、木灰をまぶして胞子ができるほどに置いた。酵母源には糠漬けの糠床をオニギリに少量添加して一晩置いたもの。カルキ抜きのために湯冷ましにした水をヒタヒタに添加。
以上で思いのほか簡単に発酵してしまった。強い発酵臭がした。自然発酵成功。ご飯に生えたカビはペニシリウム属ドミナントのようであった。ひょっとすると、ペニシリウム属のだす抗生物質がFW物質として雑菌抑制に重要な役割を持つかもしれない可能性を示した。
漬物を作り、稲刈した手でおにぎりを作ったり、かまどの近くで焼きおにぎりやきりたんぽを作って木灰がでんぷんに付着するような環境では、カビのついたオニギリを水に浸すだけでわりと容易に発酵にいたることがわかった。

なべのない昔は、食品をバナナの葉で包んで熱い灰の中にいれたり、パン生地を直接灰の中に入れて焼いたりしていたから、草木灰が付着し、自然に糀のできる条件が出来ていました。食べ残しをとっておくという行動ででんぷん質の糊化を経て、糀はできたと思われます。神様や仏様にご飯をささげる習慣があれば、糀ができる可能性は高いですね。

いっぽう糠の多い米のとぎ汁などを一晩置けば、乳酸菌が増殖します。これをいったん煮沸すれば雑菌のいない乳酸溶液が出来上がります。また、特に殺菌しなくても乳酸濃度が高くなると、かなりの種類の乳酸菌も死滅してゆきます。漬物を作ったり、果物が時々置かれる台所には酵母はたくさん居るでしょうから、すぐ発酵する可能性が大です。発酵の4点セット、アミラーゼ源、酵母、糊化されたでんぷん、そして乳酸が入っているのですから。

カビの由来がはっきりしないので、カビ毒のことを考えて試飲は避けた。皆さんも麹の由来が無毒であるとはっきりしていない限り、不用意に飲用してはいけません。
しかし、稲藁やむしろのない条件で昔の実験をしようとしてもむずかしいね。擬似的な環境作りしかできないんだもの。

 

思いついて、追加の実験をしてみました。この酒かすをオニギリに混ぜ込んで乾燥状態にしておいたら、長い菌糸のカビが単一で生育してきました。さらにこの菌糸をより純粋にするため別の新しいオニギリに誘導して種付けしました。菌糸で毛玉になったこのオニギリにヒタヒタの水を添加しておいておいたら、オニギリ形状のまま発酵を始めました。この実験で二つのことを観察できました。

一つは、カビだけで発酵に至る可能性があること。何も珍しいことではなく、マツタケ菌糸だけでも発酵することが知られています。
この菌糸は水中で永く生きているように見えます。どぶろくを種としてとっていてもかなり長い間、腐らないで菌相が維持されるケースがあるということです。
考えてみれば、粕漬って腐らないよね。純正の清酒酵母がほしいと願う人がいるようだけど、酒粕には多くの酵母が残存しているから、熱処理されていない限り、市販のこうじを添加すれば発酵は開始します。

他の一つは、撒麹(ばらこうじ)の意味です
ばらこうじを製造するには、こうじの胞子を散布した後に、生じる菌糸で米粒がくっついてしまわないようするため、ばらすようによく揉みます。こうして水分を減少させ、通気性を上げて強いこうじにするという説明が普通です。

しかし、カビの実験でわかったことがあります。菌糸で結び合わされた団子状のオニギリは発酵途中でばらばらにならずに浮き上がってしまいます。
観察すると下部で生成した泡がオニギリ部分でせき止められ浮き袋の役割を果たしてしまうのです。均一な発酵条件にしないと、浮いて空気に触れるようになった米の部分は雑菌が生育する条件を作るもとになるはずです。これでは安定した発酵は期待できません。
菌糸があっても米粒が分離していれば気泡が動くたびに米粒も揺れ動くから気泡は抜けて上昇して途中でたまることはありません。ばらこうじでは、比重が重いまだ未発酵部分の多い米粒は自動的に沈んでいくのです。もちろんこれらの米粒は糊と同じですからお互いにくっつきやすく、時折下層にたまったものを舞い上がらせるように攪拌することが必要になります。おざなりな上層部だけの攪拌をしていては、下層のドブ化を招き、発酵に失敗します。

こうじ育成の途中で、よくばらすように面倒を見ることは後工程の発酵をうまく進めるための準備作業であって、大切なんですね。

こうじからのどぶろくを取っておくことが出来ても、古代エジプトビールを酸敗させないで取っておくことは出来ませんでした。すぐに醸造酢になってしまいました。アミラーゼ源に麦芽を使うと糠(ぬか)成分が全部酒のモロミに入ってしまうので乳酸菌や酢酸菌が生育しやすいのでしょう。酢を作りたければ糠成分を添加しておけばよいと思います。飲める酢ができますよ。

酢酸発酵の条件は,アルコールがあることと、好気条件で発酵させることです。中国の黒酢を宣伝していますが、籾殻に糠を入れて何度も籾殻に発酵液をかけることで好気発酵を進めていましたね。空気を入れるために混ぜるという手をかけることで発酵酢は育まれます。
しかし酒造りには酢酸発酵は敵です。発酵中はフタをあけないなど、しっかり嫌気的にしておきましょう。

アフリカの人々が乳酸菌などが一番繁殖しやすい30℃前後の気温の中で、糠を入れた状態の酒を造れていたということは驚異的ですね。日本の杜氏のように古代アフリカでも優れた酒造りの技術者がいたということです。

コウジカビで出来たモロミには明らかに雑菌の繁殖を抑えているメカニズムがあるのです。しかも発酵を継続させる何がしかの菌相が生きのびるようです。18℃程度でたもてばこうじを入れなくても、嫌気条件なら炊いたご飯とかもちなどでつなぎながら、このもとを維持することも出来る場合があります。

自分の事例では全部うまく保存できているのですが、言い切るほどの事例を知りませんので歯切れが悪いですね。

失敗なく自然から純粋な酵母の「もと」を作りたければ、仕込み用水にキリンラガービールのような苦いビールを仕込み用水代わりに使えばよいです。4〜5%のアルコールとホップのエキスはかなりの雑菌を抑えてくれます。(理論は次章参照)
蓋を開けて一晩置けばガスは抜けますね。

 

第2回目 カビ発酵再現試験 3.25〜 写真無し

室温20℃くらいで再度、ご飯をほぐしてびんの中に投入した。今回は草木灰は無添加です。1週間ほどして2箇所ほどに小さな菌糸のコロニーができた時点(前回よりずっと早期)で容量で2倍ほどの湯冷ましを添加して静置した。

蓋をした状態で、黄色の菌糸が水中で固まりにならずに増殖。香りはあま酒のモロミ香であった。このカビの液化力は強く、さらさら感のあるモロミとなった。気泡がいくつか残っていたから、発酵はしたのだろう。気泡の生じ方は遅く、前回ほどの酒の発酵という感じはしないが、腐敗している様子はない。ビタミンB系の臭いがするモロミである。

ご飯をほぐして広げておくというだけでカビがつき、水を加えるだけで発酵が始まる可能性は高いと思える。

昔の主婦は残ったご飯を広げて干して、旅行携帯食とか、非常食として保存していた。この干して保存性がある状態にした乾いたご飯を糒(ホシイイ、乾飯とも書く)と呼んでいた。今ではα化米とも呼ぶ。水につけて戻すこともおおかった。きっとあま酒になったことも多かったでしょう。この実験と同じ環境だね。もっとも、いいかげんに干した主婦ほど酒が出来やすかったでしょうね。

水につけた糒を長く置けば発酵が始まる可能性が高い。多くの家庭で発酵が起こることを経験したはずだね。カビのつき方で、甘酒の出来ぐあいが違うことはすぐに学習したでしょう。その中で、もっとも強くアルコール生産するもとが選択されてきたのではないだろうか。

ちなみに、最初のもとは、時々ご飯を入れてやればいまだにゆっくりとプクプクしています。香りは好ましいものになっていると思います。
(その後の報告、06・09・23)アルコール発酵を続けているかどうかの確認はしていませんが、この地球温暖化の38度を越える夏にもめげず、まだ少しずつプクプクを維持しています。忘れた頃に、仏様のご飯を入れています。色にも変化はなく、香はよいモロミ臭を維持しています。

もちろんカビ毒などのあるモロミはおなかを壊す腐敗したものとして廃棄されてきただろう。ご飯を炊いて食べる生活が始まったと同時にアジアの酒どぶろくが各地で平行して成立してきたと考えておかしくない。

中国では、歴史上の書物があるだけでカビによる酒を世界ではじめて発明したのは中国人だと主張しています。
この実験から直ちに言えることは、米を炊いて神様に供える習慣があればそれは直ちに酒の発生につながりやすいということを示しています。別に他所から技術導入しなくてもお酒の技術は色々な場所で並立発生はありえるのです。

たとえばホップの育たないエジプトで寒さとホップを利用して作るゲルマンのビールが伝達されたからといってエジプトでビールができるわけがありません。酒造りは本質的にその土地の気候と農産物が中心になる技術です。他所から導入しなければいけないというような技術は、蒸留などの技術になります。

麹の言葉が最初に使われたのが中国の文献にあるから最初だという主張は、菌の種類や 水分活性や湿度、温度などで麹の菌種が変わることを無視した議論です。

そもそもお酒の最初は何も文献のある1800年前とかそういう時期ではなく、世界的に見れば農業の発生した石器時代など10000年前ほどから可能性を持つのです。家庭で製造する酒製造技術を、技術が文字に残せるから世界で一番初めなどと主張することは、文字を知らない家庭の主婦はお酒を造れなかったと主張しているようなものです。

こういうおろかな主張で競い合うことはやめよう。

コロンブスがアメリカ大陸を発見したからインデアンなど先住民族がいてもアメリカは白人の土地だと主張する根拠を受け入れるようなものです。コロンブスは国家権力を背景にしてアメリカを訪問した最初の白人という言い方もできます。発見ではなく訪問。こういう主張をすぐに受け入れる意味をもっと考えましょうね。そのプロパガンダが、民族の優位性を主張するようであれば、それはもう科学の範囲ではありません。

ともあれ自分で実験してみた人、掲示板に書き込んで下さいね。多くの人の参考になりますよ。

 

おかゆへのもと添加実験

またまた思いついて、別の実験をしてみました。植えついでいる最初のもとはかなり菌相が少なくなり固定していると考えてこれを殺菌したおかゆに植えついで見ようというわけです。おかゆはどろどろ状態で蓋をして冷ましました。冷えた状態でおかゆとほぼ同量の最初のもとであるモロミを添加して、蓋をして静置してみました。

いまだに、プクリともしませんし、モロミの状態に何の変化も見られませんでした。普通に考えれば、アミラーゼを供給しているカビがいなくなっていたと解釈できるのですが、それではいまだにプクプクしているもとのほうが説明つきません。理由不明。理由を知っている人、教えてくださいませ。

 

 

次章は発酵を理解するための必須の知識、コモンパスを解説しています。これを知れば、どんな発酵でも失敗はしないでしょう。ほかの国の酒造りを理解するにも必須だぞ。ソムリエだって知らない人が多いからねぇ。


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